50 歳の男性。咳嗽を主訴に来院した。2か月前から咳嗽があり、他院で肺炎と診断され抗菌薬を処方されたが改善しないため受診した。喫煙は40 本/日を30年間。意識は清明。身長175cm、体重78 kg。体温 36.5 ℃。脈拍 88/分、整。血圧 126/80 mmHg。呼吸数 15/分。SpO2 96 %(room air)。心音と呼吸音とに異常を認 めない。血液所見:赤血球 508 万、Hb 14.8 g/dL、白血球 5,600、血小板 25 万。 血液生化学所見:総ビリルビン 0.6 mg/dL、AST 10 U/L、ALT 21 U/L、LD 425 U/L(基準 176〜353)、尿素窒素 14 mg/dL、クレアチニン 1.2 mg/dL、CEA 2.9 ng/mL(基準 5.0 以下)、SCC 1.2 ng/mL(基準 1.5 以下)、ProGRP 350 pg/mL(基 準 81 以下)。CRP 0.3 mg/dL。胸部エックス線写真と胸部 CTとを別に示す。気管支鏡下生検で肺癌と診断された。 肺癌の組織型として最も可能性が高いのはどれか。

a 大細胞神経内分泌癌
b 扁平上皮癌
c 小細胞癌
d 大細胞癌
e 腺 癌

50歳代男性の咳嗽が主訴。

他院で肺炎と診断され抗菌薬を処方されたが改善しないため受診した。喫煙は 40 本/日を30年間。意識は清明。身長 175 cm、体重 78 kg。体温 36.5 ℃。脈拍 88/分、整。血圧 126/80 mmHg。呼吸数 15/分。SpO2 96 %(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見:赤血球 508 万、Hb 14.8 g/dL、白血球 5,600、血小板 25 万。 血液生化学所見:総ビリルビン 0.6 mg/dL、AST 10 U/L、ALT 21 U/L、LD 425 U/L(基準 176〜353)、尿素窒素 14 mg/dL、クレアチニン 1.2 mg/dL、CEA 2.9 ng/mL(基準 5.0 以下)、SCC 1.2 ng/mL(基準 1.5 以下)、ProGRP 350 pg/mL(基 準 81 以下)。CRP 0.3 mg/dL。

胸部レントゲンでは、右中下肺野の縦隔側に腫瘤影を認めています。

胸部CTでは、右下葉中枢側に気管支を取り巻く腫瘤影を認めています。

肺癌を疑う所見であり、

  • ProGRPが高値を示していること
  • 喫煙歴があること 喫煙指数=40×30=1200
  • 画像検査で中枢側に腫瘤影を認めていること

から、肺小細胞癌が疑われます。

ということで正解はcとなります。

※喫煙指数は、1日に吸うタバコの本数×年数で計算され、この指数が700を超えるとCOPDだけでなく、咽頭ガンや肺ガンの危険性も高くなるといわれています。(喫煙指数 – 日本医師会

肺小細胞癌の特徴1)

  • 肺癌の約15%を占める。
  • 肺門部や肺野に好発する。(肺門部に好発するのは小細胞癌、扁平上皮癌)
  • 腫瘍マーカーはNSE,pro-GRP
  • 喫煙との関連が強い。(肺癌のうち、喫煙との関連がより強いのは小細胞癌、扁平上皮癌)
  • 進行の早さが他の肺癌のタイプと比べて早い。そのため肺癌は小細胞癌と、非小細胞癌と分けられる。
  • 小細胞癌は増殖速度が速く、化学療法や放射線療法の感受性が高い。

 

次に肺癌の好発部位についてみてみましょう。

肺癌の発生部位1)

肺癌は発生部位により、中枢側である肺門部か、末梢側である肺野に分けられます。

肺門部に好発する肺癌

  • 扁平上皮癌
  • 小細胞癌

肺野に好発する肺癌

  • 腺癌
  • 大細胞癌
  • 腺扁平上皮癌
  • 肺過誤腫(良性腫瘍)
  • 扁平上皮癌
  • 小細胞癌
今回は中枢側に肺癌を認めており、この所見からも小細胞癌や扁平上皮癌が疑われます。

参考文献:
1)病気がみえる vol.4 呼吸器 P183-184