閉鎖孔ヘルニアのCTとHowship-Romberg徴候|第120回医師国家試験D28

腹部の手術歴があれば、今回の腸閉塞も癒着が原因ですか?
それだけで決めないようにしましょう。股関節の動きで生じる下肢痛・しびれが手がかりです。CTは骨盤下部まで確認します。

問題:第120回医師国家試験D28

75歳の女性。2日前から排便・排ガスがなく腹部膨満が出現し、今朝から腹痛と嘔吐がある。3年前に子宮全摘術を受けた。身長160 cm、体重75 kg。①腹部膨隆、②腹部全体の軽度圧痛を認めるが、③反跳痛と④筋性防御はない。⑤左股関節の伸展、外転により下肢の痛みやしびれを認める。腹部単純CTを示す。

①~⑤のうち、この患者の腸閉塞の原因に特徴的な所見はどれか。

a ①
b ②
c ③
d ④
e ⑤

問題文は厚生労働省の原文をもとに、学習に必要な要点を抜粋・要約しています。

第120回医師国家試験D28・A:腹部単純CT・拡張腸管を示す断面
A:腹部単純CT・拡張腸管を示す断面
第120回医師国家試験D28・B:腹部単純CT・骨盤下部の断面
B:腹部単純CT・骨盤下部の断面

出典:厚生労働省「第120回医師国家試験問題および正答」・D28。提示画像は公式別冊から抽出し、画像本体に矢印や着色は追加していません。

正答を確認する

正答:e ⑤:股関節の伸展、外転による下肢の痛みやしびれ

公式正答値表:D028 E。

腸閉塞の存在と、原因の場所を分けて探す

Aでは液体とガスを含む拡張腸管が多数みられます。Bでは左閉鎖孔付近の筋間に、反対側にはない腸管様の構造がみられます。閉鎖孔への腸管の脱出を考え、拡張腸管から連続性や移行部を追います。

腹部の上の方だけを見ていると、骨盤底付近の原因を見落とします。単純CTの提示像だけから腸管の造影不良を論じることはできず、虚血の評価は臨床所見や必要な追加検査を合わせます。

大腿の痛みは、閉鎖神経の刺激で説明する

閉鎖孔付近で閉鎖神経が刺激されると、大腿内側を中心に痛みやしびれが生じ、股関節の動きで増悪することがあります。これがHowship-Romberg徴候です。設問の⑤が原因に特徴的な情報に対応します。

腹部膨隆や圧痛は、腸閉塞一般でもみられます。反跳痛・筋性防御がないことは診察上重要ですが、閉鎖孔ヘルニアに特異的な所見ではありません。これらがなくても、嵌頓や腸管障害を否定できません。

典型的な体格を、実際の症例に上書きしない

閉鎖孔ヘルニアはやせた高齢女性で知られていますが、この患者は160 cm、75 kgと記載されています。典型的な説明に合わせて『やせた女性』と言い換えないことが大切です。

この問題では体格や手術歴だけに引っ張られず、股関節運動に伴う症状と骨盤下部のCTを重視して判断します。

国試で押さえること

腸閉塞で股関節運動に伴う下肢痛・しびれがあれば閉鎖孔ヘルニアを考え、骨盤下部までCTを確認する。

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全選択肢の解説

この問題の全選択肢の解説は、第120回医師国家試験 D28(医師国家試験 過去問解説)で確認できます。

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出典・参考文献

  1. 厚生労働省:第120回医師国家試験問題および正答。D28・公式正答値表。
  2. 問題別解説の照合:コクシメイク・120D28。当該問題の解説を閲覧して照合。
  3. 閉鎖孔ヘルニア13例の検討

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