膿胸のX線と混濁胸水|ドレナージに加える治療薬|第120回医師国家試験D25

X線で胸水が見えたら、膿胸だとわかりますか?
X線だけでは液体の性状は決まりません。今回は混濁した胸水、多数の白血球、Gram陽性球菌という検体の情報が重要です。

問題:第120回医師国家試験D25

65歳の男性。1週間前から咳嗽と喀痰、3日前から発熱があり、膿性痰が増量した。昨日から胸痛も出現した。糖尿病の治療中。体温38.3℃、左胸部の呼吸音は減弱。白血球15,200、CRP 22 mg/dL。胸部エックス線写真を示す。左胸腔ドレナージで混濁した胸水が排出され、多数の白血球とGram陽性球菌を認めた。

適切な治療薬はどれか。

a 抗菌薬
b 抗結核薬
c 抗真菌薬
d 気管支拡張薬
e 吸入副腎皮質ステロイド薬

問題文は厚生労働省の原文をもとに、学習に必要な要点を抜粋・要約しています。

第120回医師国家試験D25・胸部エックス線写真
胸部エックス線写真

出典:厚生労働省「第120回医師国家試験問題および正答」・D25。提示画像は公式別冊から抽出し、画像本体に矢印や着色は追加していません。

正答を確認する

正答:a 抗菌薬

公式正答値表:D025 A。

X線は、左胸腔の液体を考える入口

左下胸部に均一な陰影があり、左肋骨横隔膜角は不明瞭です。身体所見も合わせて、左胸水を考えます。X線だけでは胸水が膿かどうかはわかりません。

発熱、膿性痰、高い炎症反応に加え、排出液の混濁、多数の白血球、Gram陽性球菌という情報から、細菌感染を伴う胸水・膿胸として考えます。画像と採取検体がそれぞれ何を証明するか、分けて整理します。

排出と抗菌薬の両方が必要になる

胸腔ドレナージは感染した液体を排出する処置です。これに加えて細菌感染を治療する抗菌薬を用いるため、選択肢ではaが正答です。排液できたことだけで、感染への治療が完結するわけではありません。

Gram陽性球菌という形態だけでは菌種や薬剤感受性は確定しません。実際の薬剤選択は感染の背景、培養・感受性、患者の状態などに応じて調整します。

造影CTでは、胸膜と肺実質を分けて見る

膿胸の範囲や隔壁、ドレナージの評価には超音波やCTが役立ちます。造影CTでは肥厚した両胸膜が液体で隔てられるsplit pleura signなどが参考になりますが、本問の提示画像はX線です。提示されていないCT所見を、この患者に確認済みとして加えないようにします。

抗結核薬や抗真菌薬を選ぶ根拠は示されていません。気管支拡張薬や吸入ステロイドは、感染した胸水そのものへの治療にはなりません。

国試で押さえること

X線で胸水を捉え、混濁胸水・白血球・細菌から膿胸を考える。ドレナージに加えて抗菌薬を用いる。

関連する画像診断の解説

全選択肢の解説

この問題の全選択肢の解説は、第120回医師国家試験 D25(医師国家試験 過去問解説)で確認できます。

正常解剖の復習に、画像診断cafe

画像診断cafeのWeb版では、実際の正常画像で構造の位置関係を復習できます。無料のiPhoneアプリでも、頭部MRIなどの画像をタップして解剖名を確認できます。病変を読む前の正常解剖の確認にご利用ください。

App Storeで「画像診断cafe」を見る

出典・参考文献

  1. 厚生労働省:第120回医師国家試験問題および正答。D25・公式正答値表。
  2. 問題別解説の照合:コクシメイク・120D25。当該問題の解説を閲覧して照合。
  3. British Thoracic Society:胸膜疾患ガイドライン

画像診断を無料で学べるコンテンツ

腹部画像診断を症例で学ぶ
無料講座

腹部画像診断を症例で学ぶ

4日に1回、朝6時に症例が届く無料講座です。画像を実際にスクロールしながら、腹部画像の読影を学べます。

講座に参加する(無料) →
胸部レントゲンの正常解剖を31日で
無料講座

胸部レントゲンの正常解剖を31日で

1日3分、全31日で胸部レントゲンの正常解剖の基礎を学ぶ参加型の講座です。全日程に簡単な動画解説が付いています。

講座に参加する(無料) →
画像診断LINE公式アカウント
登録特典あり

画像診断LINE公式アカウント

新しい企画やモニター募集のお知らせを配信しています。登録すると特典として、脳の血管支配域のミニ講座に無料で参加できます。

LINEで友だち追加 →