問題:第120回医師国家試験A60
日齢15の男児。NICU入院中に血便を認めた。在胎26週で出生し、人工呼吸管理と経鼻胃管からの人工乳の注入を受けていた。胆汁を混じた胃液が10 mL吸引された。体重830 g。腹部膨隆を認め、腹壁の色は暗赤色。血小板12万。静脈血ガスはpH 7.17、PCO2 55 Torr、HCO3− 20 mEq/L。胸腹部エックス線写真を示す。
最も考えられる疾患はどれか。
a 腸重積症
b 壊死性腸炎
c 空腸閉鎖症
d 胎便性腹膜炎
e Hirschsprung病
問題文は厚生労働省の原文をもとに、学習に必要な要点を抜粋・要約しています。

出典:厚生労働省「第120回医師国家試験問題および正答」・A60。提示画像は公式別冊から抽出し、画像本体に矢印や着色は追加していません。
正答を確認する
正答:b 壊死性腸炎
公式正答値表:A060 B。
早産児に新しく出現した消化器症状を読む
日齢15まで栄養投与と排便が行われていた児に、胆汁性の胃内容、血便、腹部膨満が出現しています。生来の通過障害だけでなく、経過中に起こった腸管障害を考える場面です。早産・低出生体重という背景から、壊死性腸炎を疑います。
暗赤色の腹壁、血小板減少、酸血症も重症化を心配する情報です。pHだけでアシドーシスの種類を決めず、PCO2とHCO3−も合わせて評価します。
X線で確認するガスは、三つに分ける
提示像では腹部に拡張した腸管ガスがみられます。壊死性腸炎を疑うときは、腸管内のガスに加えて、腸管壁内ガス、門脈内ガス、腹腔内遊離ガスの有無を順に確認します。腸管壁内ガスは腸管壁に沿う線状・泡沫状の透亮像として現れます。
これらは同時にすべて出現するわけではありません。この1枚から門脈内ガスや穿孔まで一括して断定せず、経時的なX線や超音波、全身状態を合わせて評価します。
血便だけで腸重積症と決めない
乳児の血便では腸重積症も重要ですが、この児は早産でNICU管理中の新生児です。発症時期、栄養歴、腹壁の変化、酸血症まで合わせると、選択肢では壊死性腸炎が最も適切です。
本問は診断を問う設問です。治療では栄養投与の中止、胃管による減圧、抗菌薬や全身管理を行い、穿孔などがあれば外科的対応を検討します。画像の変化を待つだけでなく、臨床的な悪化を重視します。
国試で押さえること
正常解剖の復習に、画像診断cafe
画像診断cafeのWeb版では、実際の正常画像で構造の位置関係を復習できます。無料のiPhoneアプリでも、頭部MRIなどの画像をタップして解剖名を確認できます。病変を読む前の正常解剖の確認にご利用ください。
出典・参考文献
- 厚生労働省:第120回医師国家試験問題および正答。A60・公式正答値表。
- 問題別解説の照合:コクシメイク・120A60。当該問題の解説を閲覧して照合。
- 厚生労働省JANIS:NICU部門・Bell分類を含む診断基準








