問題:第120回医師国家試験A65
65歳の男性。海でシュノーケリング中に溺れ、救助後も激しい咳嗽、呼吸困難と意識障害が続いた。搬入時GCS 8、SpO2 84%(リザーバー付マスク10 L/分)。頸静脈怒張や下腿浮腫はなく、心エコーで壁運動は正常。気管挿管後、気管チューブから海水が吸引された。挿管後の胸部エックス線写真と胸部単純CTを示す。
この患者の治療で適切なのはどれか。
a 利尿薬投与
b 抗線維化薬投与
c 高用量グルココルチコイド投与
d 肺サーファクタント気管内投与
e 高い呼気終末陽圧(PEEP)による呼吸管理
問題文は厚生労働省の原文をもとに、学習に必要な要点を抜粋・要約しています。


出典:厚生労働省「第120回医師国家試験問題および正答」・A65。提示画像は公式別冊から抽出し、画像本体に矢印や着色は追加していません。
正答を確認する
正答:e 高い呼気終末陽圧(PEEP)による呼吸管理
公式正答値表:A065 E。
両側の陰影と、溺水の直後という時間関係
X線では両側肺に広い陰影を認め、CTでも両肺にすりガラス影・浸潤影が広がっています。海水の吸引後に強い低酸素血症が続いており、急性の肺障害、非心原性肺水腫を考えます。
画像だけで心原性か非心原性かを確定することはできません。溺水という誘因、心エコー、身体所見を合わせ、単なる循環血液量過剰による肺水腫と区別します。厳密なARDS重症度の判定には、FiO2やPEEPなどの条件も必要です。
PEEPで、呼気終末の肺胞虚脱を防ぐ
PEEPは呼気の終わりにも気道内に陽圧を保つ設定です。虚脱しやすい肺胞の開存を保ち、肺内シャントの軽減と酸素化の改善を目指します。今回の選択肢では、eが適切です。
高ければ高いほどよいという意味ではありません。血圧低下や過膨張にも注意し、酸素化、換気圧、循環動態を見ながら調整します。肺保護換気と組み合わせて考えます。
他の薬剤を、目の前の呼吸管理の代わりにしない
利尿薬は体液過剰などの状況によって検討する薬ですが、今回の重い低酸素血症に対する主たる選択肢ではありません。抗線維化薬や肺サーファクタント投与も、この成人の溺水直後の基本的な呼吸管理には対応しません。
本問で高用量グルココルチコイドを選ばないことから、『ARDSではステロイドを一切使わない』と一般化しないようにします。ARDSに対するステロイドの位置づけと、今回の設問の選択肢は分けて理解します。
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出典・参考文献
- 厚生労働省:第120回医師国家試験問題および正答。A65・公式正答値表。
- 問題別解説の照合:コクシメイク・120A65。当該問題の解説を閲覧して照合。
- ATS:成人ARDS管理ガイドライン更新(2024)








