副腎性Cushing症候群のCT・シンチと術後補充|第120回医師国家試験A27

副腎の腫瘍を取るのに、なぜ術後にステロイドを補うのですか?
過剰なコルチゾールによって、正常側の働きが抑えられていることがあります。腫瘍の画像だけでなく、摘出後のホルモンの変化まで考える問題です。

問題:第120回医師国家試験A27

48歳の女性。人間ドックで副腎腫瘤を指摘された。高血圧治療中で、満月様顔貌と水牛様肩を認める。ACTH 1.4pg/mL、コルチゾール24.2μg/dL(基準5.2〜12.6)。少量デキサメタゾン(1mg)抑制試験は陽性。腹部単純CT(別冊No.6A)と副腎皮質シンチグラム(別冊No.6B)を示す。副腎腫瘤の摘出を予定している。

外科治療後の対応で適切なのはどれか。

a 降圧薬の増量
b スタチンの投与
c SGLT2阻害薬の投与
d グルココルチコイドの投与
e 副腎皮質刺激ホルモン〈ACTH〉の投与

問題文は厚生労働省の原文をもとに、学習に必要な要点を抜粋・要約しています。

第120回医師国家試験A27・A:腹部単純CT
A:腹部単純CT
第120回医師国家試験A27・B:副腎皮質シンチグラム。R・Lの表示も確認する
B:副腎皮質シンチグラム。R・Lの表示も確認する

出典:厚生労働省「第120回医師国家試験問題および正答」・A27。提示画像は公式別冊から抽出し、画像本体に矢印や着色は追加していません。

正答を確認する

正答:d グルココルチコイドの投与

公式正答値表:A027 D。

CTの場所と、ホルモンの働きを分けて考える

CTでは左腎上極の内側、大動脈の左側に副腎腫瘤を認めます。シンチでは片側優位の集積が示されています。画像は病変の場所や機能の偏りを考える情報ですが、単純CTの見た目だけでコルチゾール産生を断定することはできません。

満月様顔貌・水牛様肩に加え、コルチゾール高値とACTHの抑制があります。副腎が自律的にコルチゾールを分泌する、ACTH非依存性のCushing症候群を考えます。ACTH産生下垂体腫瘍によるCushing病と区別します。

術後にコルチゾールが足りなくなる理由

高コルチゾール状態が続くと、下垂体からのACTH分泌が抑制され、正常側副腎も十分に働けない状態になります。腫瘍を摘出して過剰分泌がなくなっても、正常側が直ちに回復するとは限りません。

そこで術後は副腎不全を防ぐためのグルココルチコイド補充を行います。補充の調整や中止は、症状と内分泌検査で回復を評価しながら判断します。自己判断で急に中止する、という意味ではありません。

他の薬より、術後のホルモン不足への対応

脂質異常や耐糖能異常への治療が長期的に必要なことはあります。しかし、この設問で直接問われているのは腫瘍摘出後の対応です。ACTHを投与することと、不足するコルチゾールを補うことを混同しないようにしましょう。

選択肢を整理する

選択肢・病態 考え方
副腎性Cushing症候群 コルチゾール過剰とACTH抑制を組み合わせる。
術後の副腎不全 病変の摘出後も正常側副腎の回復を待つ必要がある。
ACTH投与 この術後補充の正答ではない。不足する末梢ホルモンを補う。

国試で押さえること

コルチゾール産生副腎腫瘍の摘出後は、正常側副腎の機能抑制を考え、グルココルチコイドを補充する。

関連する画像診断の解説

正常解剖の復習に、画像診断cafe

画像診断cafeのWeb版では、実際の正常画像で構造の位置関係を復習できます。無料のiPhoneアプリでも、頭部MRIなどの画像をタップして解剖名を確認できます。病変を読む前の正常解剖の確認にご利用ください。

App Storeで「画像診断cafe」を見る

出典・参考文献

  1. 厚生労働省:第120回医師国家試験問題および正答。A27・公式正答値表。
  2. 問題別解説の照合:コクシメイク・120A27。当該問題の解説を閲覧して照合。
  3. Endocrine Society:Treatment of Cushing’s Syndrome(術後補充)

画像診断を無料で学べるコンテンツ

腹部画像診断を症例で学ぶ
無料講座

腹部画像診断を症例で学ぶ

4日に1回、朝6時に症例が届く無料講座です。画像を実際にスクロールしながら、腹部画像の読影を学べます。

講座に参加する(無料) →
胸部レントゲンの正常解剖を31日で
無料講座

胸部レントゲンの正常解剖を31日で

1日3分、全31日で胸部レントゲンの正常解剖の基礎を学ぶ参加型の講座です。全日程に簡単な動画解説が付いています。

講座に参加する(無料) →
画像診断LINE公式アカウント
登録特典あり

画像診断LINE公式アカウント

新しい企画やモニター募集のお知らせを配信しています。登録すると特典として、脳の血管支配域のミニ講座に無料で参加できます。

LINEで友だち追加 →