肝膿瘍の単純・造影CTと視力低下で選ぶ検査|第120回医師国家試験A40

肝臓の病変なのに、目の検査も必要なのですか?
肝膿瘍では、血流を介して眼にも感染が広がることがあります。急な視力低下を別の話にせず、感染の広がりを調べる視点が大切です。

問題:第120回医師国家試験A40

48歳の男性。5日前から発熱と軟便があり、本日は悪寒を伴う発熱と両眼の視力低下を認めた。糖尿病治療中。体温38.5℃、両側眼球結膜の充血、右上腹部圧痛と肝腫大を認める。白血球14,600、CRP21mg/dL。胸部X線に異常はない。腹部単純CT(別冊No.15A)と造影CT(別冊No.15B)を示す。

この患者に対する検査で適切でないのはどれか。

a 眼底検査
b 血液培養
c 便の直接鏡検
d 尿中レジオネラ抗原検査
e 肝病変部の超音波ガイド下穿刺吸引検査

問題文は厚生労働省の原文をもとに、学習に必要な要点を抜粋・要約しています。

第120回医師国家試験A40・A:腹部単純CT
A:腹部単純CT
第120回医師国家試験A40・B:腹部造影CT
B:腹部造影CT

出典:厚生労働省「第120回医師国家試験問題および正答」・A40。提示画像は公式別冊から抽出し、画像本体に矢印や着色は追加していません。

正答を確認する

正答:d 尿中レジオネラ抗原検査

公式正答値表:A040 D。

単純と造影を比べて、肝右葉の病変を読む

肝右葉の後方に、周囲の肝実質より低吸収の病変があります。造影後も内部の低吸収が残り、周辺部や内部の構造が見やすくなっています。発熱、右上腹部痛、著しい炎症反応を合わせると、肝膿瘍を考える状況です。

腫瘍の壊死などでも低吸収病変はみられるため、CTの低吸収という所見だけで原因菌までは分かりません。病歴・培養・病変の評価を組み合わせます。

視力低下を、肝臓と無関係に扱わない

肝膿瘍に菌血症と内因性眼内炎を伴う感染があります。Klebsiella pneumoniaeによる侵襲性感染は、その組み合わせで考える原因の一つです。本問でも眼底検査や血液培養で、眼合併症と起因菌を評価する意義があります。

ただし、問題文に培養結果はありません。視力低下と肝膿瘍だけでKlebsiella感染が確定したと書くのではなく、疑って検索する段階として整理しましょう。

各検査が何を調べるのか

肝病変の超音波ガイド下穿刺吸引は、膿の確認や微生物検査に役立ちます。軟便が続いているため、便の直接鏡検はアメーバ性肝膿瘍の鑑別を考えるうえで関連があります。ただし、便検査が陰性でもアメーバ性肝膿瘍を否定できるわけではありません。

尿中レジオネラ抗原は主としてレジオネラ肺炎の診断に用います。今回の中心は肝膿瘍と眼合併症であり、胸部X線にも異常が示されていないため、選択肢の中で不適切なのはこの検査です。

選択肢を整理する

選択肢・病態 考え方
眼底検査 視力低下に対する眼内炎などの評価。
血液培養・病変穿刺 菌血症、起因微生物の同定に関係する。
便の直接鏡検 腸管アメーバ症などの鑑別。陰性での除外には限界がある。
尿中レジオネラ抗原 本問の主病態と結びつきが乏しい。

国試で押さえること

発熱+肝膿瘍+視力低下なら、眼内炎など感染の広がりを検索する。画像だけで原因菌を確定しない。

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出典・参考文献

  1. 厚生労働省:第120回医師国家試験問題および正答。A40・公式正答値表。
  2. 問題別解説の照合:コクシメイク・120A40。当該問題の解説を閲覧して照合。
  3. Klebsiella pneumoniaeによる侵襲性肝膿瘍症候群と眼内炎の症例報告

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