第119回医師国家試験 B50(2025年)
正答:b
問題
18歳の女子。昼夜逆転の生活が続いているため両親に連れられて来院した。
現病歴:幼少時に発達の遅れや偏りは指摘されていない。高校1年生までは成績優秀だったが、2年生のころから意欲や集中力が低下し、成績が落ちた。3年生から不登校となり、高校中退後は引きこもりがちな生活を送っている。両親によると最近、自室から独り言や笑い声が聞こえる。
既往歴:特記すべきことはない。
生活歴:両親と3人暮らし。喫煙歴と飲酒歴はない。
家族歴:父がうつ病。
現症:意識は清明。身長164 cm、体重60 kg。体温36.0 °C。脈拍72/分、整。血圧122/66 mmHg。呼吸数15/分。SpO2 99 %(room air)。神経診察で異常を認めない。診察室ではそわそわと落ち着きなく歩き回り、質問に対して的外れな回答をすることもあり、会話が成立しにくい。「何となく悪いことが起きそうな気がする」「世界がなくなってしまう」「知らない人が自分を見ている」と言う。
診断はどれか。
a.うつ病
b.統合失調症
c.パーソナリティ症
d.自閉スペクトラム症
e.双極症〈双極性障害〉
正答の理由
思春期から意欲・集中力が低下し、学業や社会生活が損なわれ、その後に独語・独笑、妄想を疑う発言、まとまりにくい会話が出現しています。陽性症状と陰性・認知症状を含む経過から、選択肢ではbの統合失調症が最も適切です。診療では薬物・身体疾患などによる症状も除外して評価します。
各選択肢の検討
a.うつ病:意欲低下は重なりますが、気分症状を中心としない妄想・思考の混乱などの経過からは統合失調症が適切です。
b.統合失調症:機能低下に続く妄想、独語・独笑、会話のまとまりにくさの組合せに合います。
c.パーソナリティ症:持続的な人格特性だけでは、今回の精神病症状と進行する機能低下を説明しません。
d.自閉スペクトラム症:幼少時からの発達特性は指摘されておらず、後から生じた機能低下と精神病症状を主に評価します。
e.双極症〈双極性障害〉:躁・軽躁エピソードや明確な気分エピソードの反復が示されていません。
覚えるポイント
引きこもりや昼夜逆転という生活の様子だけで診断せず、病前からの変化、妄想・幻覚、思考、意欲・認知機能を経時的に評価します。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。