第119回医師国家試験 A69(2025年)
正答:e
問題
63歳の男性。眼瞼下垂を主訴に来院した。1か月前から物が二重に見えることを自覚していた。夕方になると眼瞼下垂がみられる。その他に自覚症状はない。血中抗アセチルコリン受容体抗体が陽性であった。胸部単純CT(別冊No.31)を別に示す。
適切な対応はどれか。
a.抗癌化学療法
b.定位放射線治療
c.縦隔リンパ節生検
d.シクロスポリン投与
e.胸腺腫を含む拡大胸腺摘出術

正答の理由
夕方に増悪する眼瞼下垂・複視と抗アセチルコリン受容体抗体陽性から重症筋無力症を考えます。CTで前縦隔に胸腺腫を疑う腫瘤があり、切除可能性と周術期の筋無力症の状態を評価した上で、eの胸腺腫を含む拡大胸腺摘出術が適切です。
画像の見方
胸骨後方、上行大動脈・肺動脈の前方に軟部組織腫瘤を認め、胸腺腫を考えます。この単一断面だけで詳細な浸潤範囲を確定せず、全体の画像評価を行って手術を計画します。
各選択肢の検討
a.抗癌化学療法:進行・切除不能胸腺腫などで検討しますが、本例で第一に選ぶ対応ではありません。
b.定位放射線治療:切除可能な胸腺腫の初期治療として優先する選択肢ではありません。
c.縦隔リンパ節生検:画像と臨床から切除可能な胸腺腫が疑われる本例で、最初に選ぶ対応ではありません。
d.シクロスポリン投与:筋無力症の免疫治療に用いる場合はありますが、胸腺腫そのものの治療にはなりません。
e.胸腺腫を含む拡大胸腺摘出術:正しい。腫瘍と胸腺組織を含めた切除を検討します。
覚えるポイント
胸腺腫のある重症筋無力症と、胸腺腫のない眼筋型の手術適応は区別します。術前は筋無力症を安定させ、術後呼吸障害にも備えます。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。