第119回医師国家試験 A68(2025年)
正答:b
問題
3歳の男児。言葉の遅れを心配した両親に連れられて来院した。有意語は2歳6か月に出現したが、2語文はなく、独特の抑揚のある発語やオウム返しがみられるという。保育園では集団行動が苦手で、友達と一緒に遊ばない。いつもと異なる道で登園しようとするとかんしゃくを起こす。診察室では、視線が合いにくく、落ち着きなく歩き回り、診察に応じようとしない。
診察時の適切な対応はどれか。
a.押さえつけて診察する。
b.自由に行動させて観察する。
c.着席するよう厳しく指示する。
d.しつけが悪いと両親を注意する。
e.行動が落ち着いた時期の再受診を両親に指示する。
正答の理由
言語発達の遅れ、対人交流の困難、オウム返し、変化への強い抵抗から、自閉スペクトラム症を含む発達特性の評価が必要です。まず安全な診察環境を整え、bのように自由な行動を観察して、関心の向け方ややり取りの特徴を把握します。無理に着席させることや、養育の問題と決めつけることは適切ではありません。
各選択肢の検討
a.押さえつけて診察する:緊急の安全確保が必要な場合を除き、不安と抵抗を強めるため初めから行いません。
b.自由に行動させて観察する:正しい。安全を確保し、自然な行動・相互交流を観察します。
c.着席するよう厳しく指示する:児の特性や不安に配慮せず強制すると、診察・評価が難しくなります。
d.しつけが悪いと両親を注意する:発達特性をしつけの問題と決めつける対応は不適切です。
e.行動が落ち着いた時期の再受診を両親に指示する:評価の機会を失わず、その場でできる観察・問診から進めます。
覚えるポイント
発達の評価では診察室での自然な観察と、家庭・保育園などの情報を合わせます。一度の落ち着きのなさだけで診断を確定しません。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第119回医師国家試験問題および正答
- NICE:Autism spectrum disorder in under 19s・recognition, referral and diagnosis
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。