第119回医師国家試験 A66(2025年)
正答:d
問題
38歳の初産婦(1妊0産)。妊娠35週5日、2時間前から痛みを伴う持続的な子宮収縮を自覚し、来院した。
意識は清明。体温36.8 °C。脈拍92/分、整。血圧148/92 mmHg。呼吸数20/分。来院時の内診で子宮口は4 cm開大、児頭下降度はSP‐2 cm、腟鏡診で少量の出血を認めた。腹部超音波検査では胎児は頭位、推定体重2,100 gで胎盤の肥厚像を認めた。胎児心拍数陣痛図(別冊No.29)を別に示す。
適切な対応はどれか。
a.吸引分娩
b.経過観察
c.子宮収縮薬投与
d.帝王切開
e.ベタメタゾン投与

正答の理由
持続的な痛みを伴う子宮収縮、性器出血、胎盤肥厚から常位胎盤早期剝離を疑います。胎児心拍数陣痛図では深い一過性徐脈を認め、胎児機能不全への対応を急ぐ必要があります。子宮口4 cm、児頭SP−2 cmで経腟分娩が切迫していないため、dの緊急帝王切開が適切です。
画像の見方
基線付近から大きく低下し、約80 bpmに達する深い一過性徐脈を認めます。持続する腹痛・出血・胎盤肥厚という臨床所見と合わせ、胎児低酸素を懸念して急速遂娩を検討します。
各選択肢の検討
a.吸引分娩:子宮口全開大ではなく児頭も高く、適応条件を満たしません。
b.経過観察:早剝と胎児機能不全が疑われ、分娩を遅らせることはできません。
c.子宮収縮薬投与:早剝を疑う状況で胎児の状態も悪く、経腟分娩を促進して待つ対応は適切ではありません。
d.帝王切開:正しい。母体の評価・蘇生準備と並行して、速やかな分娩を図ります。
e.ベタメタゾン投与:胎児肺成熟を目的に用いる場合がありますが、その効果を待って必要な緊急分娩を遅らせません。
覚えるポイント
早剝では外出血が少なくても重症のことがあります。胎児の状態と分娩進行度を評価し、母体の出血・凝固異常にも備えます。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。