第119回医師国家試験 A23(2025年)
正答:b
問題
9か月の女児。けいれんを主訴に両親に連れられて来院した。生後5か月で腹部に皮疹があることに母親が気付いていた。2週間前から両上肢を伸展挙上し、頭部を前屈する動作が出現した。約5秒間隔で10回以上反復し、次第に頻度が増加して毎日みられるようになった。同時期からあやし笑いが乏しくなり、ひとり座りが不安定になった。
身長70.5 cm、体重8.2 kg。体温36.3 °C。脈拍108/分、整。血圧82/48 mmHg。呼吸数32/分。SpO2 99%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。体幹と大腿部に皮疹を3個認める。頭部単純MRIのT2強調水平断像(別冊No.7A)と大腿部の皮疹の写真(別冊No.7B)とを別に示す。
最も考えられる疾患はどれか。
a.尋常性白斑
b.結節性硬化症
c.神経線維腫症 1 型
d.Sturge‐Weber 症候群
e.von Hippel‐Lindau 病


正答の理由
短い間隔で群発する体幹・上肢の動きと発達の後退は、てんかん性スパズムを疑う経過です。複数の白斑と頭部MRIの皮質・上衣下の病変を合わせ、bの結節性硬化症が最も考えられます。乳児期には顔面血管線維腫がまだ目立たず、白斑とてんかんが診断の手掛かりとなります。
画像の見方
MRIでは前頭葉などの皮質・皮質下に高信号病変がみられ、側脳室壁には結節状の所見を伴います。皮膚写真は原本の3 cm表示を保った白斑です。これらを発作・発達の情報と合わせて結節性硬化症を考えます。
各選択肢の検討
a.尋常性白斑:皮膚の白斑だけでは、群発する発作やMRIの病変を一元的に説明できません。
b.結節性硬化症:正しい。白斑、てんかん、皮質結節・上衣下結節などの所見が一致します。
c.神経線維腫症1型:カフェオレ斑などが特徴で、今回の白斑と脳病変の組合せとは異なります。
d.Sturge-Weber症候群:顔面の毛細血管奇形や軟膜血管腫などが手掛かりです。
e.von Hippel-Lindau病:網膜・中枢神経の血管芽腫などをきたしますが、本問の乳児期の所見とは異なります。
覚えるポイント
結節性硬化症の徴候は年齢で変わります。乳児の白斑と発作・発達の変化は早期評価の重要な組合せで、脳波を含むてんかんの評価も必要です。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。