第118回医師国家試験 F71(2024年)
正答:b
問題
70歳の男性。意識障害のため救急車で搬入された。
現病歴:3か月前に妻が死亡した後、約1週間前から生きていくのが非常に辛いと悩んでいた。本日、自宅で意識を失った状態で倒れているところを息子が発見し、救急車を要請した。救急搬送中に10分間のけいれんを認めた。本人が倒れていた部屋には空の瓶と遺書があった。
既往歴:高血圧症で降圧薬を内服している。
生活歴:息子と2人暮らし。自宅で農業を営んでいる。
家族歴:特記すべきことはない。
現症:意識レベルはJCS Ⅲ‑100。身長169 cm、体重72 kg。体温38.8 ℃。心拍数120/分、整。血圧120/82 mmHg。呼吸数32/分。SpO2 85 %(リザーバ付マスク10 L/分酸素投与下)。瞳孔径は左右2.0 mm。対光反射は緩慢である。口の周囲に吐物と唾液の混ざったものを認める。全身に著明な発汗を伴い、全身の筋肉はけいれんしている。
患者の息子への質問のうち搬入直後の治療のために最も重要なのはどれか。
a.「遺書をお持ちですか」
b.「落ちていた空の瓶は持ってきましたか」
c.「ご家族に精神科通院中の方はいますか」
d.「お父さんはお酒をどれくらい飲みますか」
e.「お父さんはけいれんを起こしたことがありますか」
正答の理由
自宅に空の瓶があり、急性中毒を疑う状況である。製品名や成分を確認できれば、トキシドロームとの整合性、必要な検査や治療方針を早く判断できるため、空の瓶を持参しているかを尋ねる。気道・呼吸・循環への対応を止めて待つものではない。
各選択肢の検討
a:心理社会的背景の把握には関係するが、搬入直後の中毒治療方針には原因物質の確認が優先する。
b:正しい。ラベルや成分によって原因物質の同定が進む。
c:家族歴は後に確認できるが、直ちに中毒治療を決める情報ではない。
d:飲酒の情報も参考になるが、空の容器による原因物質確認を優先する。
e:鑑別には有用だが、今回の急性中毒が疑われる状況では原因物質の情報が最も直接的である。
覚えるポイント
容器や残薬、服薬情報は原因同定の手掛かりとなる。急性期治療と情報収集を並行する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。