第118回医師国家試験 D56(2024年)
正答:b
問題
55歳の男性。嚥下障害を主訴に来院した。35歳ごろに両手に粗大な動作時振戦と下肢の筋力低下が出現し、徐々に進行した。40歳ごろには上肢にも筋力低下がみられるようになった。50歳ごろには、呂律が回りにくくなり、半年前から嚥下障害が出現し開鼻声になった。平地歩行はかろうじて可能である。発話の際に顔面筋の線維束性収縮が認められる。患者は3人兄弟の末子で兄が同じ症状を示すという。挺舌時の写真(別冊No. 22)を別に示す。
最も考えられるのはどれか。
a.Huntington病
b.球脊髄性筋萎縮症
c.副腎白質ジストロフィー
d.Charcot‐Marie‐Tooth病
e.Becker型進行性筋ジストロフィー

正答の理由
成人男性の緩徐進行性の四肢筋力低下、動作時振戦、顔面筋の線維束性収縮と球症状に、同様の症状を持つ兄がいる。舌萎縮も認め、球脊髄性筋萎縮症〈SBMA〉が最も考えられる。アンドロゲン受容体遺伝子のCAG反復配列伸長によるX連鎖性疾患で、遺伝学的検査などで確認する。
画像の見方
舌がやせ、表面に深い溝と凹凸がみられる。舌筋の萎縮を示す所見で、嚥下・構音障害と合わせて球部の下位運動ニューロン障害を考える。静止写真だけで線維束性収縮の動きまでは判定しない。
各選択肢の検討
a:Huntington病では舞踏運動、認知・精神症状などが中心である。
b:正しい。成人男性の下位運動ニューロン症状と球症状、振戦、家族歴が合う。
c:副腎白質ジストロフィーでは中枢神経の白質障害や副腎不全などを評価する。
d:Charcot-Marie-Tooth病は遠位筋優位の筋萎縮と感覚障害、足変形などが典型的で、著明な球症状は主所見ではない。
e:Becker型筋ジストロフィーは筋原性の疾患であり、顔面の線維束性収縮と舌萎縮からは下位運動ニューロン障害を考える。
覚えるポイント
成人男性の緩徐進行性球麻痺と筋萎縮では、振戦・家族歴も確認する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。