胸膜中皮腫は石綿曝露から数十年後に発症する|第118回医師国家試験A46

第118回医師国家試験 A46(2024年)

正答:e

問題

61歳の男性。右胸痛を主訴に来院した。3か月前から胸痛を自覚していたが、1週間前から痛みが増強したため受診した。体温36.9 °C。脈拍84/分、整。血圧132/80 mmHg。呼吸数16/分。SpO2 95 %(room air)。心音に異常を認めない。右呼吸音の減弱を認める。

血液所見:赤血球471万、Hb 11.0 g/dL、Ht 36 %、白血球9,200、血小板58万。

血液生化学所見:SCC 0.7 ng/mL(基準1.5以下)、ProGRP 23.8 pg/mL(基準81以下)。CRP 17 mg/dL。胸膜生検でカルレチニン免疫組織化学染色が陽性である悪性細胞を認めた。胸部エックス線写真(別冊No.19 A)とFDG‐PET/CT像(別冊No.19B)を別に示す。

この疾患で誤っているのはどれか。

a.上皮型が最も多い。

b.予後は不良である。

c.CEAは正常値である。

d.胸水中ヒアルロン酸は高値である。

e.アスベスト曝露後5年前後で発症する。

右胸膜病変と胸水を示唆する陰影。
別冊No.19A:胸部エックス線写真 / 出典:厚生労働省・第118回A別冊(原本の該当ページ)
右胸膜に沿う広範なFDG集積。
別冊No.19B:FDG-PET/CT / 出典:厚生労働省・第118回A別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

胸膜に沿って全周性に広がる病変とカルレチニン陽性の悪性細胞から胸膜中皮腫を考えます。胸膜転移や肺癌などとの鑑別は形態と複数の免疫染色を組み合わせて行い、カルレチニン陽性やFDG集積だけで確定するわけではありません。石綿曝露から発症までの潜伏期間は通常数十年であり、約5年で発症するという記述が誤りです。

画像の見方

胸部写真では右胸郭の容積が小さく、右胸膜肥厚と下肺野の胸水を示唆する陰影があります。PET/CTでは右胸膜に沿う全周性の厚い病変に強いFDG集積があり、葉間胸膜にも集積を認めます。

各選択肢の検討

a.上皮型が最も多い:正しい。上皮様型が最も多い組織型です。

b.予後は不良である:正しい。びまん性に進展し、一般に予後不良の疾患です。

c.CEAは正常値である:本問では正しい。一般に血清CEAは上昇しにくく、腺癌との鑑別でもCEA陰性が参考になります。

d.胸水中ヒアルロン酸は高値である:本問では正しい。高値は診断を支持しますが、正常例もあり単独で確定・除外できません。

e.アスベスト曝露後5年前後で発症する:誤り。潜伏期間は通常数十年です。

覚えるポイント

カルレチニンだけで確定するのではなく、形態と複数の免疫染色を組み合わせます。胸水ヒアルロン酸やCEAにも例外があり、検査結果だけで断定しません。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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