第118回医師国家試験 A30(2024年)
正答:c
問題
67歳の男性。酩酊状態のため心配した家族に付き添われて来院した。若い頃から晩酌が習慣であった。1年前の定年退職後から飲酒量が多くなり、最近、食事を食べずに朝から夜まで飲酒している。家族によると、酔っているとき手や指の振えが止まるという。また、飲酒を控えるように言っても、隠れて酒を買いに行って飲んでしまうという。身長173 cm、体重51 kg。体温36.8 °C。脈拍72/分、整。血圧108/78 mmHg。呼吸数18/分。SpO2 98 %(room air)。アルコール臭があるが、会話は可能である。眼瞼結膜は軽度貧血様である。眼球結膜に黄染を認めるが、眼球運動は正常である。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。断酒と検査目的で入院することとなった。
入院後に投与すべき薬剤はどれか。
a.抗酒薬
b.レボドパ〈L‐dopa〉
c.ベンゾジアゼピン系薬剤
d.アセチルコリンエステラーゼ阻害薬
e.選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉
正答の理由
飲酒をやめると手指振戦が出現し、飲酒で軽快することからアルコール離脱が示唆されます。入院による断酒後は振戦、けいれん、振戦せん妄などに注意し、適切な監視下でベンゾジアゼピン系薬剤を用います。
各選択肢の検討
a.抗酒薬:断酒継続を支える薬ですが、急性離脱症状の治療薬ではありません。
b.レボドパ:パーキンソン病の治療薬で、アルコール離脱振戦の治療ではありません。
c.ベンゾジアゼピン:正しい。離脱症状とけいれん・せん妄の予防・治療に用います。
d.アセチルコリンエステラーゼ阻害薬:認知症治療薬であり、離脱の治療には用いません。
e.SSRI:抗うつ薬で、急性離脱症状への第一選択ではありません。
覚えるポイント
低栄養があり、チアミン補充や電解質評価も必要です。肝機能・呼吸状態などをみながら過鎮静を避けて投与します。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。