第117回医師国家試験 F38(2023年)
正答:d
問題
4か月の女児。活気不良と哺乳量の減少を主訴に母親に連れられて来院した。周産期に異常はなかった。1週間前から活気が低下し、2日前から約20 %哺乳量が減少してきた。昨夜の便は黒っぽかった。本日も活気の回復がみられないため心配になり、自宅近くの診療所の夜間救急外来を受診した。意識は清明。体温36.8 ℃。心拍数136/分、整。呼吸数24/分。顔色はやや不良。心音と呼吸音とに異常を認めない。頸部にリンパ節を触知しない。腹部は軽度膨隆を認める。紫斑を認めない。毛細血管再充満時間の延長はない。
血液所見:赤血球209万、Hb 5.6 g/dL、Ht 18 %、白血球950,000、血小板1.5万。
血液生化学所見:AST 34 U/L、ALT 16 U/L、LD 1,390 U/L(基準120〜245)、尿酸8.6 mg/dL、Na 139 mEq/L、K 4.4 mEq/L、Cl 106 mEq/L。CRP 2.1 mg/dL。
母親への説明として適切なのはどれか。
a.「点滴をしてから帰りましょう」
b.「もっと早く受診するべきでした」
c.「明日かかりつけ医に相談してください」
d.「専門の病院に緊急入院して精査が必要です」
e.「命にかかわることはないので心配は要りません」
正答の理由
白血球950,000/μLに加え、Hb 5.6 g/dLと血小板1.5万/μLを認め、白血病などの重篤な造血器疾患を強く疑います。白血球うっ滞、出血、腫瘍崩壊症候群などを起こす危険があり、専門病院への緊急入院と精査が必要です。現時点で意識や呼吸が保たれていることだけで帰宅はできません。
各選択肢の検討
a.補液だけで安全に帰宅できる状態ではありません。
b.保護者を責める説明は適切ではなく、現在の状態と必要な対応を伝えます。
c.翌日まで待たず緊急に専門施設へつなぎます。
d.正しい。危険性と緊急入院の必要性を、保護者が理解できるよう説明します。
e.重篤な合併症を起こし得るため、根拠のない安心を与えません。
覚えるポイント
著しい血球異常では、見かけの活気だけで重症度を判断しない。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。