第117回医師国家試験 D66(2023年)
正答:d
問題
75歳の男性。易疲労感を主訴に来院した。5年前に再生不良性貧血と診断され免疫抑制療法を開始したが改善を認めず、4年前からは2週間おきに赤血球輸血を継続して受けている。身長165 cm、体重58 kg。体温36.3 °C。脈拍100/分、整。眼瞼結膜は軽度貧血様で、眼球結膜に黄染を認めない。胸骨右縁第2肋間を最強点とするLevine 2/6の収縮期雑音を聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。皮膚は暗褐色。
血液所見:赤血球200万、Hb 5.8 g/dL、Ht 19 %、網赤血球0.2 %、白血球2,200(分葉核好中球8 %、好酸球2 %、好塩基球1 %、リンパ球89 %)、血小板4.0万。
血液生化学所見:総蛋白6.2 g/dL、アルブミン2.8 g/dL、総ビリルビン1.1 mg/dL、直接ビリルビン0.8 mg/dL、AST 129 U/L、ALT 12 U/L、LD 360 U/L(基準120〜245)、尿素窒素19 mg/dL、クレアチニン0.7 mg/dL、空腹時血糖90 mg/dL、Fe 250 μg/dL、フェリチン2,500 ng/mL(基準20〜120)。CRP 0.2 mg/dL。腹部単純CTで肝実質CT値の上昇を認めた。
この患者への対応で正しいのはどれか。
a.瀉血
b.肝移植
c.造血幹細胞移植
d.鉄キレート剤の投与
e.エリスロポエチン製剤の投与
正答の理由
長期反復輸血後に皮膚色素沈着、フェリチン2,500 ng/mL、血清鉄高値、肝CT値上昇を認め、輸血後鉄過剰症を考えます。重症貧血が持続しており瀉血は困難なため、鉄キレート剤で過剰鉄を排出します。
各選択肢の検討
a.Hb5.8 g/dLの輸血依存性貧血に瀉血を行うと、貧血がさらに悪化します。
b.鉄過剰への初期対応として肝移植を行う状態ではありません。
c.再生不良性貧血への根治療法の一つですが、75歳の本例で鉄過剰への対応としてまず選ぶ治療ではありません。
d.正しい。輸血量・フェリチンと臓器障害、腎肝機能を評価しながら実施します。
e.再生不良性貧血の造血幹細胞障害や蓄積鉄を解決する標準的対応ではありません。
覚えるポイント
反復輸血による鉄過剰では、貧血があるため瀉血ではなく鉄キレート療法を検討する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。