第117回医師国家試験 A65(2023年)
正答:c
問題
56歳の女性。心窩部痛を主訴に来院した。半年前から心窩部に違和感があり、持続するため受診した。既往歴に特記すべきことはない。身長162 cm、体重61 kg。眼瞼結膜に異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
血液所見: 赤血球399万、Hb 11.5 g/dL、Ht 35 %、白血球4,300、血小板17万。
血液生化学所見:総蛋白7.2 g/dL、アルブミン4.1 g/dL、総ビリルビン0.5 mg/dL、AST 20 U/L、ALT 16 U/L、LD 184 U/L(基準120〜245)、尿素窒素21 mg/dL、クレアチニン0.9 mg/dL、血糖93 mg/dL。CRP 0.2 mg/dL。上部消化管内視鏡像(別冊No.34A)と生検組織像(H‐E染色、KIT免疫染色、αSMA〈平滑筋アクチン〉免疫染色)(別冊No.34B)を別に示す。腹部CTで腫瘍径は5.5 cm、他臓器への転移を認めなかった。
対応として適切なのはどれか。
a.経過観察
b.放射線療法
c.胃部分切除術
d.殺細胞性薬による治療
e.内分泌(ホルモン)薬による治療




正答の理由
胃粘膜下腫瘍様の隆起と紡錘形細胞増殖があり、KIT陽性・αSMA陰性からGISTを考えます。5.5 cmで遠隔転移がなく、切除可能な局所病変として腫瘍を破裂させずに胃部分切除を行います。術後補助療法の適応は大きさだけでなく核分裂数、発生部位、腫瘍破裂などで判定します。
画像の見方
内視鏡で粘膜に覆われた隆起を認めます。H-E染色では紡錘形細胞が束状に増殖し、KIT免疫染色は褐色の陽性所見、αSMA免疫染色は明らかな陽性を示さず、GISTを支持します。
各選択肢の検討
a.5.5 cmの症候性GISTを経過観察だけにしません。
b.切除可能な限局性胃GISTの第一選択ではありません。
c.正しい。切除可能な限局病変には外科的完全切除を行います。
d.従来型の殺細胞性抗癌薬はGISTへの効果が乏しく、切除可能例の第一選択ではありません。
e.ホルモン依存性腫瘍ではありません。分子標的薬のイマチニブとは別です。
覚えるポイント
GISTはKIT等の免疫染色と形態で診断し、局所切除と分子標的薬の適応を分けます。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。