第117回医師国家試験 A60(2023年)
正答:e
問題
67歳の女性。倦怠感を主訴に来院した。約1か月前から疲れやすくなり、症状が改善しないため受診した。意識は清明。身長149 cm、体重45 kg。脈拍72/分、整。血圧144/88 mmHg。心尖部にLevine 3/6の拡張期雑音を聴取し、心雑音の強さは体位で変化した。呼吸音に異常を認めない。心エコー検査で左室駆出率は正常範囲であったが、左房内に可動性のある腫瘤を認め、拡張期には腫瘤が僧帽弁口を塞ぐような所見を認めた。胸部造影CT(別冊No.31A)を別に示す。入院後、腫瘤摘除術が施行された。術中の写真(別冊No.31B)を別に示す。
この患者の入院時に認められる所見で可能性が低いのはどれか。
a.発熱
b.息切れ
c.関節痛
d.体重減少
e.頸静脈の虚脱


正答の理由
左房内の可動性腫瘤が拡張期に僧帽弁口を閉塞し、体位で変わる拡張期雑音を生じることから左房粘液腫を考えます。僧帽弁狭窄様の血流障害による息切れと、炎症性サイトカインに関連した発熱・関節痛・体重減少を来し得ます。頸静脈の虚脱は典型的ではなく、うっ血が進めばむしろ頸静脈怒張を来し得ます。
画像の見方
CTでは造影された左房内に腫瘤性の充盈欠損を認めます。術中にも暗赤色の腫瘤が確認でき、本文の可動性・僧帽弁口閉塞という心エコー所見と合わせて左房粘液腫を考えます。
各選択肢の検討
a.IL-6などの炎症性反応に伴い発熱することがあります。
b.僧帽弁口の閉塞による肺うっ血などで息切れを来し得ます。
c.粘液腫の全身炎症症状として関節痛を伴うことがあります。
d.炎症性の全身症状として体重減少を伴うことがあります。
e.正解。循環血液量減少を示すような頸静脈の虚脱は、本病態の代表的所見ではありません。
覚えるポイント
左房粘液腫は弁口閉塞・塞栓・全身炎症症状を組み合わせて考えます。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。