第117回医師国家試験 A49(2023年)
正答:a
問題
81歳の男性。もの忘れを主訴に来院した。5年前に妻を亡くしてから、一人暮らしとなった。年金で十分生活はできていて、身の回りのことは自分で行っていた。約2年前から、約束を忘れたり、同じ食材を何度も買ってきて冷蔵庫に詰め込んだりするようになった。心配した長男夫婦が勧めても適当にはぐらかして受診しなかったが、再三の説得により長男と受診した。既往歴に特記すべきことはない。診察時、疎通性は良好であるが答えられない質問になると、その場を取り繕う様子がみられた。Mini‐Mental State Examination〈MMSE〉は18点(30点満点)で、時間の見当識と語想起の課題で失点が目立った。神経診察では、筋力低下、感覚障害、不随意運動および筋強剛はみられず、歩行も正常であった。血液生化学検査で異常を認めない。頭部MRIで年齢相応の脳萎縮を認める。脳血流SPECT (別冊No.22)を別に示す。
この患者の支援のために、まず申請するのはどれか。
a.介護認定
b.生活保護
c.身体障害者手帳
d.特別障害給付金
e.特定医療費支給認定(指定難病)

正答の理由
持続する記憶障害、取り繕い、MMSE18点とSPECT所見からAlzheimer型認知症が疑われます。独居で買い物や予定管理に支障があり、介護保険サービスにつなぐため要介護・要支援認定を申請します。診断名だけで要介護度は決まらず、実際の生活機能や支援の必要性で評価されます。
画像の見方
統計画像で両側側頭頭頂部や後部帯状回付近の血流低下が示されています。記憶障害の経過と合わせてAlzheimer型認知症を支持しますが、画像だけで要介護度を判定するものではありません。
各選択肢の検討
a.正しい。市区町村への申請と認定調査、主治医意見書などを経て必要な介護サービスを検討します。
b.年金で生活できており、経済的困窮への支援を最初に選ぶ状況ではありません。
c.本例の認知症による生活支援を受けるための第一の申請ではありません。
d.任意加入期間の未加入など所定の条件を満たす障害基礎年金等を受給できない人の制度で、本例の第一選択ではありません。
e.Alzheimer型認知症を理由にこの制度を最初に申請するものではありません。
覚えるポイント
介護認定は病名やMMSEの点数だけでなく、日常生活で必要な支援を評価します。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。