第117回医師国家試験 A37(2023年)
正答:b
問題
60歳の女性。皮疹を主訴に来院した。1年前から右肩甲部に皮疹が出現し徐々に拡大してきた。痒みや痛みはない。右肩甲部に約2 cmの境界明瞭で平坦な淡褐色結節を認める。血液所見と血液生化学所見とに異常を認めない。胸腹部造影CTで明らかな転移を認めない。生検で病理診断を行った後、結節を辺縁から5 mm離して切除した。術前の右肩甲部の写真(別冊No.13A)と摘出組織のH‐E染色標本(別冊No.13B)とを別に示す。H‐E染色標本で切除断端に病変はなかった。
切除後の対応で適切なのはどれか。
a.拡大切除
b.経過観察
c.電子線照射
d.PUVA療法
e.薬物による抗癌治療


正答の理由
境界明瞭な色素性病変と、病理でみられる基底細胞様の細胞巣・辺縁の柵状配列から基底細胞癌を考えます。辺縁から5mm離して切除され、組織学的にも断端陰性であり、追加切除や全身治療を行わず経過観察を選びます。
画像の見方
皮膚病変は辺縁に褐色から黒色の色素を伴う境界明瞭な斑です。病理では表皮に連続する基底細胞様の濃染する細胞が胞巣状に増殖し、その辺縁に柵状配列を認め、基底細胞癌に合致します。
各選択肢の検討
a.断端陰性で局所切除されており、現時点でさらに拡大切除する根拠は示されていません。
b.正しい。局所再発や他の皮膚病変などを確認します。
c.手術困難例などでは検討しますが、完全切除後の一律の追加照射は不要です。
d.光化学療法であり、完全切除した基底細胞癌に通常追加する治療ではありません。
e.局所治療不能・進行例などで検討する治療で、本例の術後に必要な対応ではありません。
覚えるポイント
完全切除の判断には側方・深部断端と病理組織型を確認します。再発リスクに応じた経過観察を行います。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。