カテーテル感染後の中心静脈ポート再造設|第116回医師国家試験F70

第116回医師国家試験 F70(2022年)

正答:d

問題

50歳の女性。発熱を主訴に来院した。

現病歴:3か月前に大腸癌と診断され、左鎖骨下静脈に中心静脈ポートを造設し外来で抗癌化学療法を行っていた。3日前から悪寒を伴う発熱を認め、改善しないため来院した。

既往歴:3か月前の大腸癌の診断以外に特記すべきことはない。

生活歴:ADLは自立しており夫と2人暮らし。喫煙歴、飲酒歴はない。

家族歴:母親が乳癌で死亡している。

現症:意識は清明。身長157 cm、体重52 kg。体温38.3 ℃。脈拍102/分、整。血圧134/76 mmHg。呼吸数16/分。SpO2 97 %(room air)。眼瞼結膜は軽度貧血様であり、眼球結膜に黄染はない。甲状腺と頸部リンパ節を触知しない。心尖部にLevine 2/6の全収縮期雑音を認める。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦で、肝・脾を触知しない。肋骨脊柱角〈CVA〉叩打痛を認めない。下腿に浮腫や圧痛を認めない。左鎖骨下の中心静脈ポート造設部に発赤と疼痛を認める。

検査所見:尿所見:蛋白(−)、糖(−)、潜血(−)。血液所見:赤血球360万、Hb 8.5 g/dL、Ht 26 %、白血球11,000(好中球84 %、好酸球1 %、好塩基球1 %、単球6 %、リンパ球8 %)、血小板18万。

血液生化学所見:総蛋白6.0 g/dL、アルブミン2.9 g/dL、総ビリルビン1.0 mg/dL、直接ビリルビン0.2 mg/dL、AST 42 U/L、ALT 58 U/L、LD 321 U/L(基準120〜245)、尿素窒素28 mg/dL、クレアチニン1.0 mg/dL、血糖98 mg/dL、Na 133 mEq/L、K 4.1 mEq/L、Cl 97 mEq/L。CRP 12 mg/dL。心エコー検査で中等度の僧帽弁逆流を認める。疣贅は認めない。血液培養検体を2セット採取したのちに入院した。左鎖骨下の中心静脈ポートを抜去し、抗菌薬治療を開始した。

入院翌日に2セットの血液培養検体の両方から、グラム陽性のクラスター様に集簇する球菌が検出された。

中心静脈ポートの再造設に際して誤っているのはどれか。

a.血液培養の陰性化を確認後に行う。

b.抜去した部位を避けて造設する。

c.明らかな静脈閉塞がない部位を選択する。

d.新しい中心静脈ポートを抗菌薬に浸してから留置する。

e.造設後にエックス線写真で位置を確認する。

正答の理由

再造設では菌血症の消失を確認し、感染した旧部位を避け、血管の開存とカテーテル先端位置を確認します。新品のポートをその場で抗菌薬に浸してから留置する方法は、標準的な感染予防策ではありません。特定のカテーテル製品への抗菌加工や、留置済みカテーテル内腔の抗菌薬ロック療法とは別の行為です。

各選択肢の検討

a.正しい。黄色ブドウ球菌によるカテーテル感染後は、再培養の陰性化を確認して新規カテーテルを検討します。

b.正しい。感染したポケットや旧挿入部位を避けて造設します。

c.正しい。静脈閉塞の有無を確認し、安全に使用できる経路を選択します。

d.誤り(正解)。新しいポートの任意の抗菌薬浸漬は、推奨された無菌操作や標準手技の代わりになりません。

e.正しい。画像で先端位置や合併症を確認します。透視などで確認する手技もあり、全施設で同じ撮影方法に限られるという意味ではありません。

覚えるポイント

新規ポートの抗菌薬浸漬と、特定の抗菌加工製品・抗菌薬ロックを混同しない。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

第116回の一覧へ戻る

タイトルとURLをコピーしました