第116回医師国家試験 E35(2022年)
正答:c
問題
55歳の男性。上腹部痛を主訴に来院した。半年前から腫瘤に気付き、徐々に大きくなっていることを自覚している。眼瞼結膜に貧血があり、左鎖骨上リンパ節の腫大を認める。上腹部に径10 cmの腫瘤を触知し、圧痛を認める。患者は「おなかになにかがあるのは分かっていたが、癌と診断されるのが怖く今まで受診しなかった。飲食店を自営しているが、私がいないと休業となり、収入が無くなり困る。もっと早く受診すれば、私は死なずにすんだのでしょうか」という。
この患者が感じている苦痛のうち社会的苦痛はどれか。
a.死への恐怖
b.上腹部の痛み
c.収入が無くなる事への不安
d.癌と診断される事への恐怖
e.もっと早く受診すればという後悔
正答の理由
休業すると収入がなくなるという、仕事と家計に関わる不安が社会的苦痛です。身体の痛み、心理的な不安、人生の意味や後悔などの苦痛は重なり合うため、分類して終わらず本人が困っていることを確認し、相談支援や経済・就労支援へつなげます。
各選択肢の検討
a.死への恐怖は心理的・スピリチュアルな苦痛に関わります。
b.腫瘤や病変に伴う身体的苦痛です。
c.正しい。就労と経済生活に関わる社会的苦痛です。
d.診断に対する不安・恐怖という心理的苦痛です。
e.後悔や人生の意味に関わる苦痛で、経済面の苦痛とは区別します。
覚えるポイント
経済・仕事・家庭での役割への困難は社会的苦痛。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。