第116回医師国家試験 E31(2022年)
正答:e
問題
75歳の男性。一人暮らし。3か月前に肺癌と診断され、肺内転移、骨転移を認めた。家で穏やかに過ごしたいという本人の希望で在宅療養している。自宅で最期を迎えることを希望している。2週間前からはほぼ寝たきりでトイレに行くこともできず、訪問看護サービスとホームヘルパーの訪問を受けている。5日前から腰痛が出現し、訪問診療の医師が薬物療法を行ったが腰痛が悪化している。本日、医師が診療に訪れた際に患者が「もう今日で死なせてください」と強く訴えた。
本日の訴えに対する医師の対応として正しいのはどれか。
a.「そんなことを言わずに頑張りましょう」
b.「今すぐ安らかに旅立つお手伝いをします」
c.「すぐにホスピスへの入院を検討しましょう」
d.「末期肺癌の根治的治療法がありますので安心してください」
e.「なぜそのようなお気持ちになったのか、お話し下さいますか」
正答の理由
死を望む訴えの背景には、強い疼痛、孤立、不安、抑うつなど複数の苦痛があり得ます。まず患者の言葉を受け止め、そう感じた理由を聞くeが適切です。腰痛の再評価と緩和を並行し、精神状態や安全面、在宅で使える支援も確認します。直ちに生命を終わらせる要求へ同意したり、本人の在宅希望を確認せず入院方針を決めたりしません。
各選択肢の検討
a.苦痛の内容を聞かずに励ますと、患者が気持ちを話しにくくなります。
b.苦痛の背景を評価せず、生命を終わらせる対応に直結させることは不適切です。
c.ホスピスも選択肢ですが、まず本人の思いと在宅での支援可能性を確認します。
d.根治できるとする根拠のない説明で、不安や疼痛の把握にもなりません。
e.正しい。開かれた質問で訴えの背景を聞き、苦痛の評価と具体的な緩和につなげます。
覚えるポイント
死を望む訴えは、その背景の苦痛を聴き取り緩和する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。