第116回医師国家試験 D60(2022年)
正答:d
問題
11歳の男児。右肩痛を主訴に来院した。2か月前に右上腕近位部の腫瘤に気付いた。徐々に腫瘤が増大し運動時痛が生じてきたため受診した。既往歴に特記すべきことはない。
身長132 cm、体重26 kg。体温36.2 ℃。右上腕近位部に硬い腫瘤を触知する。
血液所見:赤血球468万、Hb 13.9 g/dL、白血球4,300、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白7.5 g/dL、アルブミン3.9 g/dL、総ビリルビン0.9 mg/dL、直接ビリルビン0.2 mg/dL、AST 28 U/L、ALT 16 U/L、LD 177 U/L(基準120〜245)、ALP 566 U/L(基準38〜113)、γ-GT 32 U/L(基準8〜50)、CK 42 U/L(基準30〜140)、尿素窒素12 mg/dL、クレアチニン0.3 mg/dL、尿酸4.9 mg/dL、Na 136 mEq/L、K 4.4 mEq/L、Cl 97 mEq/L。CRP 0.9 mg/dL。
右上腕骨の単純エックス線写真(別冊No.24A)とMRIの脂肪抑制造影T1強調冠状断像(別冊No.24B)とを別に示す。
次に行う対応として適切なのはどれか。
a.抗菌薬投与
b.鎮痛薬投与
c.ギプス固定
d.組織生検
e.局所冷却

正答の理由
増大する有痛性の硬い腫瘤と、上腕骨近位の骨破壊・不整な骨形成、骨外へ広がる病変から、骨肉腫などの悪性骨腫瘍を疑います。確定診断のため組織生検が必要です。生検経路は後の切除範囲に関係するため、骨軟部腫瘍の専門施設で計画して行います。小児は生理的にもALPが高くなり得るので、提示された成人相当の基準値との比較だけで診断しません。
画像の見方
上腕骨近位の骨幹端に不均一な骨破壊と骨形成があり、周囲にも腫瘤状の陰影がみられます。MRIでは同部に不均一な造影を伴う病変があり、骨外への広がりも評価します。
各選択肢の検討
a.細菌感染を第一に示す発熱や強い炎症反応がなく、画像では腫瘍性病変の診断を優先します。
b.疼痛緩和は必要でも、それだけで腫瘤を経過観察してはいけません。
c.骨折への処置が主ではなく、進行する腫瘍の確定診断が必要です。
d.正しい。適切に計画した生検で病理組織診断を行います。
e.対症的な処置にとどまり、悪性骨腫瘍の診断・治療を遅らせます。
覚えるポイント
小児の増大する骨性腫瘤と侵襲性画像所見は、専門施設で計画的な生検を行う。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。