第116回医師国家試験 D57(2022年)
正答:b
問題
82歳の女性。右母趾爪の褐色斑を主訴に来院した。20年前から同部位に褐色斑が出現した。10年前に自宅近くの診療所を受診したが良性の皮膚疾患と診断された。半年前から褐色斑が拡大し、自然に出血するようになったため受診した。瘙痒と疼痛はない。右母趾に皮疹を認める。圧痛はない。右鼠径リンパ節を触知する。右母趾の写真(別冊No.23A)とダーモスコピー像(別冊No.23B)とを別に示す。
最も考えられるのはどれか。
a.Bowen病
b.悪性黒色腫
c.基底細胞癌
d.色素性母斑
e.乳房外Paget病

正答の理由
高齢者の爪部色素斑が拡大し、自然出血と不均一な黒褐色変化を伴っています。画像の不規則な色調・爪の破壊から悪性黒色腫を最も疑います。長年存在したことや過去に良性とされたことは、最近の変化を否定する根拠になりません。鼠径リンパ節については転移を評価しますが、触知だけで転移と確定はしません。
画像の見方
爪の広い範囲に黒褐色の色素があり、色調や線の幅が不均一です。爪の一部は崩れ、痂皮・出血を伴うようにみえます。拡大してきた経過と合わせ悪性黒色腫を疑います。
各選択肢の検討
a.表皮内扁平上皮癌で色素性病変もありますが、提示された爪部の不規則な黒色変化と経過では黒色腫を優先します。
b.正しい。爪部色素斑の拡大・不均一化・出血は悪性黒色腫を疑う所見です。
c.主に顔面等に生じる腫瘍で、爪部の広がる色素斑としては黒色腫が考えやすい所見です。
d.良性母斑でも爪の色素線条は生じますが、最近の拡大と出血を良性と決めつけられません。
e.外陰部・腋窩等の湿疹様病変が典型で、本例の爪部黒色病変とは合いません。
覚えるポイント
爪の色素斑は以前からあっても、幅・色調の変化や出血があれば黒色腫を再評価する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。