成人T細胞白血病・リンパ腫の高カルシウム血症|第116回医師国家試験D56

第116回医師国家試験 D56(2022年)

正答:c

問題

69歳の男性。1か月前からの皮膚紅斑および1週間前からの全身倦怠感と食欲不振を主訴に来院した。姉が血液疾患で死亡している。

体温37.1 ℃。脈拍68/分、整。上半身に紅斑を認める。体表リンパ節は触知しない。

血液所見:赤血球446万、Hb 14.9 g/dL、Ht 44 %、白血球14,800、血小板20万。血液生化学所見:総蛋白6.9 g/dL、アルブミン4.1 g/dL、総ビリルビン1.5 mg/dL、AST 95 U/L、ALT 53 U/L、LD 1,916 U/L(基準120〜245)、クレアチニン1.4 mg/dL。末梢血塗抹May-Giemsa染色標本写真(別冊No.22)を別に示す。

この患者で注意すべき合併症はどれか。

a.高リン血症

b.高クロール血症

c.高カルシウム血症

d.高ナトリウム血症

e.高マグネシウム血症

第116回D56 別冊No.22:末梢血May-Giemsa染色
別冊No.22:末梢血May-Giemsa染色 / 出典:厚生労働省・第116回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

皮疹、白血球増多、著明なLD上昇と、花弁状にくびれた核を持つ異常リンパ球から成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)を考えます。ATLでは高カルシウム血症に注意し、食欲不振・倦怠感・腎機能障害がその症状である可能性も評価します。確定には抗HTLV-1抗体や免疫表現型等を含む検査が必要で、血液像だけでは断定しません。

画像の見方

深い切れ込みを伴って多分葉状・花弁状となった核を持つ異常リンパ球がみられます。Flower cellを疑う形態で、皮疹や高LDと合わせATLの評価につなげます。

各選択肢の検討

a.腫瘍崩壊や腎不全では上がり得ますが、ATLで特徴的に警戒する電解質異常は高カルシウム血症です。

b.本例の血液像から特徴的に予想する合併症ではありません。

c.正しい。ATLで重要な合併症で、意識障害・脱水・腎障害等を来し得ます。

d.脱水等で変化し得ますが、ATLに特徴的な合併症としての第一選択ではありません。

e.高度腎不全やマグネシウム製剤等が問題となり、本例の特徴的合併症とは異なります。

覚えるポイント

Flower cell、皮疹、高LDではATLを考え、高カルシウム血症と日和見感染に注意する。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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