第116回医師国家試験 D47(2022年)
正答:c
問題
5か月の男児。数日前から便秘があり、今朝から哺乳量が低下したため母親に連れられて来院した。周産期に異常なく、4か月健康診査までの成長、発達は良好であった。完全母乳栄養だが、最近になり蜂蜜を与えている。来院時、視線は合うものの表情に乏しく、眼瞼下垂と瞳孔散大を認め、対光反射は両側で遅延している。頸部の姿勢保持が困難で、四肢の腱反射は消失している。
最も考えられる疾患はどれか。
a.脳性麻痺
b.重症筋無力症
c.ボツリヌス症
d.先天性ミオパチー
e.Werdnig-Hoffmann病
正答の理由
蜂蜜摂取後の便秘、哺乳低下、眼瞼下垂、瞳孔反応の低下と弛緩性の筋力低下から乳児ボツリヌス症です。摂取した芽胞が乳児の腸内で発芽・増殖し、産生された毒素が神経終末からのアセチルコリン放出を妨げます。呼吸筋麻痺に進行し得るため、呼吸状態を含め速やかな評価が必要です。1歳未満には蜂蜜を与えません。
各選択肢の検討
a.非進行性の発達期脳障害で、正常発達後の便秘に続く急性の弛緩性麻痺を説明しません。
b.眼瞼下垂は起こり得ますが、通常は瞳孔反射が保たれ、便秘・散瞳という自律神経障害は合いません。
c.正しい。乳児の便秘に続く脳神経・筋力低下と蜂蜜の摂取歴が手掛かりです。
d.先天的な筋疾患で、本例の急な発症と瞳孔・自律神経所見は典型的ではありません。
e.乳児期の脊髄性筋萎縮症ですが、瞳孔反射異常と蜂蜜摂取後の急性発症はボツリヌス症を支持します。
覚えるポイント
乳児の便秘+哺乳低下+弛緩性麻痺では、蜂蜜の摂取歴と瞳孔・眼瞼の所見を確認する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。