第116回医師国家試験 D43(2022年)
正答:d
問題
55歳の男性。昨日から発熱と動悸を自覚し、本日前頸部に腫脹と痛みが出現したため来院した。1週間前から咽頭痛があり風邪薬を服用していた。
体温37.6 ℃。脈拍96/分、整。血圧132/78 mmHg。頸部リンパ節の腫大は認めないが、甲状腺はびまん性に腫大しており(別冊No.15)、右葉に圧痛を認める。血液生化学所見:TSH 0.1 μU/mL(基準0.2〜4.0)、FT4 2.7 ng/dL(基準0.8〜2.2)。CRP 8.4 mg/dL。
最も考えられる疾患はどれか。
a.Basedow病
b.Plummer病
c.慢性甲状腺炎
d.亜急性甲状腺炎
e.急性化膿性甲状腺炎

正答の理由
上気道症状に続く有痛性甲状腺腫大、炎症反応上昇と甲状腺中毒症から亜急性甲状腺炎を考えます。濾胞の破壊で蓄えられたホルモンが漏れ出すため、FT4高値・TSH低値を呈します。急性化膿性甲状腺炎との鑑別も必要ですが、典型的な経過と破壊性中毒症が本例を支持します。
画像の見方
前頸部の甲状腺に相当する領域に腫脹がみられます。写真だけで病型は確定できず、有痛性・圧痛、炎症反応、ホルモン所見と合わせて評価します。
各選択肢の検討
a.ホルモン合成亢進による中毒症で、通常は甲状腺圧痛や強い炎症反応を伴いません。
b.自律性機能性結節が原因で、びまん性の有痛性腫大とは異なります。
c.通常は無痛性であり、本例の急な痛みと高CRPでは亜急性甲状腺炎が合います。
d.正しい。有痛性の破壊性甲状腺炎による甲状腺中毒症です。
e.痛みと発熱を来しますが、局所膿瘍等を評価する病態であり、典型的な本例の中毒症は亜急性甲状腺炎を支持します。
覚えるポイント
痛い甲状腺腫大+高CRP+一過性甲状腺中毒症では亜急性甲状腺炎を考える。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。