第116回医師国家試験 D41(2022年)
正答:b
問題
52歳の男性。人間ドックの超音波検査で左腎の腫瘤を指摘され受診した。
意識は清明。身長172 cm、体重76 kg。体温36.5 ℃。脈拍72/分、整。血圧128/82 mmHg。腹部は平坦で、腫瘤を触知しない。
尿所見:蛋白(−)、糖(−)、ケトン体(−)、潜血+、沈渣に異常を認めない。血液所見:赤血球551万、Hb 14.8 g/dL、Ht 45 %、白血球5,600、血小板22万。血液生化学所見:総蛋白7.3 g/dL、アルブミン4.8 g/dL、総ビリルビン0.9 mg/dL、AST 18 U/L、ALT 24 U/L、LD 179 U/L(基準120〜245)、尿素窒素11 mg/dL、クレアチニン0.9 mg/dL、尿酸4.9 mg/dL、血糖103 mg/dL、Na 143 mEq/L、K 4.2 mEq/L、Cl 105 mEq/L、Ca 9.1 mg/dL。腹部造影CT(別冊No.13)を別に示す。胸部CT、骨シンチグラフィーで異常を認めない。
治療について適切なのはどれか。
a.殺細胞性薬
b.腎部分切除術
c.腎尿管全摘除術
d.マイクロ波凝固療法
e.免疫チェックポイント阻害薬

正答の理由
左腎外側に限局する小径の造影腫瘤を認め、遠隔転移を示す情報はありません。手術可能な限局性小径腎癌を疑い、腎機能を温存する腎部分切除を選びます。画像のみで組織型を確定せず、全身状態や腫瘍の位置・大きさ等を含めて治療を決定します。
画像の見方
左腎外側に腎実質から突出する小さな腫瘤があり、内部の造影が不均一です。提示断面では周囲へ大きく進展する像はなく、限局性小径腎腫瘍として評価します。
各選択肢の検討
a.通常の腎細胞癌では、限局性小径腫瘍に対して最初に殺細胞性薬を用いる方針ではありません。
b.正しい。可能なT1腫瘍では腎実質を温存する手術が推奨されます。
c.主に腎盂・尿管の尿路上皮癌で検討する術式で、本例の腎実質腫瘍の標準ではありません。
d.局所焼灼が選ばれる患者はいますが、手術可能な比較的若い本例では部分切除が適切です。
e.進行・転移例や一部の術後補助療法等で使用しますが、この小径腫瘍への初回治療として選びません。
覚えるポイント
限局性小径腎腫瘍は、腫瘍制御と腎機能温存を両立する部分切除を検討する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。