第116回医師国家試験 D29(2022年)
正答:a
問題
64歳の男性。舌腫瘤を主訴に来院した。1週間前に舌左側と咽頭の痛みを自覚した。既往歴に特記すべきことはない。喫煙歴はない。飲酒はビール350 mL/日を週1回。頸部リンパ節を触知しない。生検で扁平上皮癌を認めた。口腔内視鏡像(別冊No.6A)と頭頸部造影MRI(別冊No.6B)とを別に示す。FDG-PETで遠隔転移を認めない。
この患者でまず行うのはどれか。
a.手術治療
b.粒子線治療
c.永久気管孔造設
d.経皮的胃瘻造設
e.薬物による抗癌治療


正答の理由
舌左側の扁平上皮癌で、遠隔転移や切除不能を示す情報がありません。舌癌は原発巣の切除を基本に、病変範囲に応じ頸部郭清や再建を検討します。実際の術式は浸潤範囲・深達度、機能温存、全身状態を含めて決めます。画像の一断面だけで病期や切除範囲を確定しません。
画像の見方
口腔内視鏡像では舌側縁に不整な隆起・潰瘍性病変があります。脂肪抑制造影T1強調水平断像・冠状断像では舌左側に対応する造影病変がみられ、周囲への浸潤範囲を評価します。
各選択肢の検討
a.正しい。切除可能な舌扁平上皮癌の標準的治療の中心です。
b.放射線治療を選択する場合はありますが、本例で粒子線を手術より優先する根拠はありません。
c.舌癌で一律に永久気管孔を作るわけではありません。周術期に一時的気管切開が必要になる場合とは区別します。
d.栄養補助として必要なことはありますが、原発巣に対する第一の根治治療ではありません。
e.進行度等により併用・適応を検討しますが、本例で単独の薬物治療を第一にする根拠はありません。
覚えるポイント
切除可能な舌扁平上皮癌は手術を基本に、頸部・機能・再建を含めて計画する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。