第116回医師国家試験 D20(2022年)
正答:e
問題
32歳の男性。腹痛を主訴に来院した。昨日から右下腹部痛が出現し改善しないため受診した。18歳時に虫垂炎のため虫垂切除を受けている。
体温37.0 ℃。脈拍80/分、整。血圧132/80 mmHg。腹部は平坦で、右下腹部に圧痛と軽度の反跳痛を認める。腸雑音は減弱している。
血液所見:赤血球476万、Hb 15.3 g/dL、Ht 43 %、白血球12,400(好中球75 %、好酸球1 %、好塩基球1 %、単球4 %、リンパ球19 %)、血小板25万。血液生化学所見:AST 34 U/L、ALT 60 U/L、尿素窒素12 mg/dL、クレアチニン0.9 mg/dL。CRP 3.6 mg/dL。腹部単純CT(別冊No.2)を別に示す。
この画像所見から最も考えられる疾患はどれか。
a.大腸癌
b.便秘症
c.腸結核
d.虚血性腸炎
e.大腸憩室炎

正答の理由
右側結腸壁の局所的な肥厚と、憩室周囲に強い脂肪織濃度上昇を認めます。急性の右下腹部痛、好中球優位の白血球増多、CRP上昇を合わせると右側結腸憩室炎が最も考えられます。虫垂切除歴だけで診断するのではなく、炎症の中心をCTで確認します。
画像の見方
右側結腸に局所的壁肥厚があり、その外側の小さな突出部付近を中心に周囲脂肪織の濃度が上がっています。急性の憩室周囲炎症を示唆します。
各選択肢の検討
a.腫瘤性・不整な壁肥厚も鑑別になりますが、本例は憩室周囲を中心とする急性炎症像です。
b.単純な便秘では局所的な腹膜刺激症状と憩室周囲の炎症性変化を説明しにくい所見です。
c.回盲部病変を来しますが、慢性経過や特徴的な狭窄等の情報に乏しく、急性憩室炎の画像が合います。
d.急性腹痛を来しますが、典型的な血便や区域性腸炎の像ではなく、局所的憩室炎を考えます。
e.正しい。憩室・結腸壁肥厚と周囲脂肪織の炎症性変化が対応します。
覚えるポイント
右下腹部痛では右側結腸憩室炎も考える。CTで憩室と周囲脂肪織を確認する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。