第116回医師国家試験 A74(2022年)
正答:a・b・d
問題
42歳の男性。腹痛を主訴に来院した。昨日昼から心窩部痛を自覚していた。今朝、起床時に嘔吐した。その後右下腹部痛を自覚し、徐々に増悪するため受診した。身長170 cm、体重78 kg。体温37.3 ℃。脈拍84/分、整。血圧126/78 mmHg。呼吸数16/分。SpO2 99 %(room air)。腹部は平坦で、右下腹部に圧痛と反跳痛を認める。
血液所見:赤血球486万、Hb 15.2 g/dL、Ht 43 %、白血球16,200、血小板24万。
血液生化学所見:総蛋白6.4 g/dL、アルブミン4.2 g/dL、総ビリルビン0.7 mg/dL、AST 23 U/L、ALT 18 U/L、LD 147 U/L (基準120〜245)、尿素窒素20 mg/dL、クレアチニン0.9 mg/dL。CRP 0.9 mg/dL。腹部超音波検査では病変の描出が不明瞭であった。腹部造影 CT の横断像(別冊No. 28A)と斜冠状断像(別冊No. 28B)を別に示す。
考慮すべき治療法はどれか。3つ選べ。
a.手術
b.輸液
c.高圧浣腸
d.抗菌薬投与
e.イレウス管挿入


正答の理由
心窩部痛に始まり嘔吐後に右下腹部へ痛みが移動し、圧痛・反跳痛と白血球増加を認めます。CTでは虫垂の腫大と周囲炎症を認め、急性虫垂炎と判断します。輸液と抗菌薬を行い、虫垂切除術を検討します。非複雑性虫垂炎の一部では抗菌薬単独も選択肢ですが、重症度・糞石・本人の希望等で判断します。
画像の見方
横断像と斜冠状断像で、盲腸から続く腫大した管状構造と壁肥厚、周囲脂肪織の濃度上昇を認めます。移動痛と右下腹部の腹膜刺激徴候を合わせて急性虫垂炎を考えます。
各選択肢の検討
a.正しい。虫垂切除術を検討します。
b.正しい。絶食や嘔吐に伴う水分・電解質不足を補います。
c.腸重積の整復等に用いますが、虫垂炎には適応しません。
d.正しい。腸内細菌を想定した抗菌薬を投与します。
e.腸閉塞の減圧が主目的で、本例の基本治療ではありません。
覚えるポイント
心窩部から右下腹部への移動痛とCTの虫垂所見を合わせて虫垂炎と判断する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。