第115回医師国家試験 E50(2021年)
正答:c
問題
68歳の男性。ふらつき感を主訴に来院した。
現病歴:本日起床時から、頭がふらふらする感じを自覚したため受診した。
既往歴:2年前に自宅近くの診療所で糖尿病と診断されたが、その後通院していない。
生活歴:長男夫婦と同居している。偏食が激しく、近所で買って来た菓子などで不規則な食事をし、しばしば居酒屋で大量飲酒している。
現症:意識は清明。身長165 cm、体重70 kg。体温36.2 ℃。脈拍104/分、整。血圧104/64 mmHg。呼吸数20/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。眼振を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢の筋力低下を認めず、四肢・体幹の運動失調を認めない。起立と歩行に異常を認めないが両側アキレス腱の腱反射が消失している。
検査所見:来院時、簡易血糖測定器で測定した血糖は350 mg/dLであった。
糖尿病の診療を開始するにあたり、医師の説明で適切なのはどれか。
a.「すぐに運動して、体重を落としましょう」
b.「薬物治療の導入は、薬剤師が決定します」
c.「ご家族にも病状を説明したいのですが、良いですか」
d.「看護師が生活指導を担当するので、医師に聞かないでください」
e.「治療について医師の言うことは絶対なので、必ず守ってください」
正答の理由
家族の支援は継続的な糖尿病診療に役立ちますが、本人の意思を確認して情報を共有します。本人に家族への説明の同意を求めるcが適切です。多職種が協働しても医師の説明責任はなくならず、治療は患者との相談の中で決めます。高血糖時の運動は代謝状態や合併症を評価してから検討します。
各選択肢の検討
a.血糖350 mg/dLで、脱水・ケトーシス等を確認せず直ちに運動を勧めません。
b.薬剤師は薬学的評価と提案を行いますが、独立して薬物治療の開始を決定・処方するという説明は誤りです。
c.正しい。本人の同意を確認して家族にも説明し、支援につなげます。
d.看護師と協働しつつ、医師も質問に答えて説明します。
e.医師の指示を絶対とするのではなく、本人の理解や価値観を踏まえて相談します。
覚えるポイント
家族の関与は本人の意向を確認し、多職種で支援する。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第115回医師国家試験問題および正答
- NICE NG197・Shared decision making
- 厚生労働省・医師法
- 日本糖尿病学会・Japanese Clinical Practice Guideline for Diabetes 2019
- 厚生労働省・医行為について(医師法と保健師助産師看護師法)
- 日本糖尿病学会・糖尿病診療ガイドライン2024第7章:自己管理教育と治療支援
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。