第115回医師国家試験 E8(2021年)
正答:d
問題
出血性ショックによる意識障害のある患者が付き添いなく救急搬送され、緊急手術が必要であると判断された。患者は他院に通院歴があることが判明している。
医療者の行為として誤っているのはどれか。
a.術前に家族へ連絡を試みた。
b.院内で緊急手術の必要性について討議した。
c.通院歴のある医療機関へ診療情報の問い合わせをした。
d.治験参加への同意書が未取得の段階で治験用の降圧薬を使用した。
e.輸血開始時までに血液型が判明しなかったためO型Rh(−)の赤血球輸血を行った。
正答の理由
意識がなく代諾者とも直ちに連絡できない救命緊急時には、本人の最善の利益に沿う必要な治療を進めます。しかし、これを根拠に治験用降圧薬を自由に投与することはできません。出血性ショックの患者に降圧薬を用いる合理的な救命目的も示されていません。救命的治験には厳格な例外規定がありますが、単に同意未取得・緊急というだけでは満たしません。
各選択肢の検討
a.必要な連絡を試みますが、連絡がつくまで救命処置を遅らせません。
b.チームで必要性を共有し、迅速に判断します。討議が救命の遅れにつながらないようにします。
c.既往、薬剤、アレルギー等の重要な情報を得るために有用です。
d.正答。必要な治験手続と医学的合理性がなく、出血性ショックに治験用降圧薬を使用できません。
e.血液型が不明で緊急輸血が必要な場合、O型Rh(−)赤血球を用いる対応は妥当です。通常の適合確認手順も可能な限り進めます。
覚えるポイント
救命治療と研究参加は区別する。緊急でも無条件に治験薬を使えるわけではない。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第115回医師国家試験問題および正答
- 世界医師会:リスボン宣言、意識のない患者の緊急治療
- 厚生労働省:GCP省令第55条、緊急状況下における救命的治験
- 厚生労働省:緊急時にABO型が不明な場合のO型赤血球輸血
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。