第115回医師国家試験 D60(2021年)
正答:b
問題
73歳の女性。口腔粘膜疹と皮疹を主訴に来院した。2か月前から口腔粘膜にびらんを生じ、摂食時に疼痛を伴うようになった。自宅近くの診療所でうがい薬を処方されたがびらんが拡大し、2週前から皮膚にも水疱とびらんが出現したため受診した。受診時、歯肉と口蓋部に発赤を伴うびらんを多数認める。体幹と四肢には径15 mmまでの紅斑、水疱、びらん及び痂皮を認める。皮膚生検で表皮基底層直上に裂隙を認め、棘融解像を伴う。蛍光抗体直接法では表皮下層を中心に表皮細胞間にIgG、C3の沈着を認める。口腔粘膜と上肢の写真(別冊No.21A)及び生検組織のH-E染色標本(別冊No.21B)を別に示す。
最も考えられるのはどれか。
a.後天性表皮水疱症
b.尋常性天疱瘡
c.水疱性類天疱瘡
d.疱疹状皮膚炎
e.落葉状天疱瘡


正答の理由
口腔粘膜のびらんが先行し、皮膚にも水疱・びらんが出現しています。基底層直上の裂隙と棘融解、表皮細胞間へのIgG・C3沈着は尋常性天疱瘡を支持します。デスモグレインに対する自己抗体によって細胞間接着が障害される病態です。粘膜病変と表皮内水疱の位置を合わせて鑑別します。
画像の見方
口蓋と上肢に発赤を伴う多発びらんがみられます。H-E像では基底層直上に裂隙があり、上皮細胞の接着が失われる棘融解を認めます。表皮下水疱ではなく表皮内の病変です。
各選択肢の検討
a.通常は表皮下水疱と基底膜部の自己抗体沈着を示し、表皮内の棘融解と合いません。
b.正しい。粘膜病変と基底層直上の棘融解が典型的です。
c.表皮下水疱と基底膜部に沿う沈着が特徴で、本例の細胞間沈着と異なります。
d.好中球性の表皮下水疱と真皮乳頭部の顆粒状IgA沈着等が手掛かりで、本例と合いません。
e.表皮上層の浅い棘融解が主体で、通常は明らかな口腔粘膜病変を欠きます。
覚えるポイント
尋常性天疱瘡は粘膜病変、基底層直上の棘融解、表皮細胞間IgG沈着。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。