第115回医師国家試験 C67(2021年)
正答:d
問題
75歳の男性。腹痛を主訴に来院した。
現病歴:3週前から食思不振と倦怠感を自覚していた。2日前から上腹部の鈍痛が出現したため受診した。
既往歴:45歳から高血圧症と糖尿病で内服加療中である。血糖コントロールは良好であった。61歳時に早期胃癌の診断で幽門側胃切除(Billroth I法再建)術。
生活歴:妻と長男夫婦と4人暮らし。喫煙は20本/日を45年間。飲酒は機会飲酒。
家族歴:特記すべきことはない。
現症:意識は清明。身長166 cm、体重57 kg。体温36.7 °C。脈拍76/分、整。血圧134/86 mmHg。呼吸数14/分。SpO2 98 %(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、手術痕を認める。圧痛のない腫大した胆囊を触知する。肝・脾を触知しない。腸雑音に異常を認めない。
検査所見:血液所見:赤血球411万、Hb 13.8 g/dL、Ht 41 %、白血球8,600、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白7.1 g/dL、アルブミン3.7 g/dL、総ビリルビン2.1 mg/dL、直接ビリルビン1.3 mg/dL、AST 328 U/L、ALT 216 U/L、LD 564 U/L(基準120〜245)、ALP 1,235 U/L(基準115〜359)、γ-GT 602 U/L(基準8〜50)、アミラーゼ101 U/L(基準37〜160)、尿素窒素24 mg/dL、クレアチニン1.2 mg/dL、尿酸5.4 mg/dL、血糖123 mg/dL、HbA1c 7.0 %(基準4.6〜6.2)、総コレステロール196 mg/dL、トリグリセリド110 mg/dL、Na 139 mEq/L、K 4.4 mEq/L、Cl 99 mEq/L、CEA 5.3 ng/mL(基準5以下)、CA19-9 133 U/mL(基準37以下)。CRP 1.5 mg/dL。
腹部造影CT(別冊No.17 ①〜⑤)を別に示す。
この患者のものと考えられるのはどれか。
a.①
b.②
c.③
d.④
e.⑤


正答の理由
胆道系酵素上昇、軽度の直接ビリルビン上昇と無痛性胆囊腫大から、下部胆道閉塞を伴う膵頭部の病変を考えます。④では膵頭部の低吸収域と胆囊腫大、上流膵管拡張がみられ、この症例に対応します。病歴・画像から膵頭部癌を疑いますが、最終的な病理診断や切除可能性は追加の評価で判断します。
画像の見方
④では胆囊が腫大し、膵頭部に低吸収域、膵体尾部側に膵管拡張を認めます。①〜⑤の番号を対応させ、胆囊の大きさだけで選ばず膵頭部も観察します。
各選択肢の検討
a.①は上腹部の大きな囊胞性病変が主で、求める膵頭部閉塞性病変とは異なります。
b.②では胆囊内の高吸収結石や壁肥厚が目立ちます。本例の無痛性胆囊腫大と膵頭部病変に合う画像は④です。
c.③は膵のびまん性腫大と周囲の変化が目立ち、④の局所的な膵頭部病変とは異なります。
d.正しい。胆囊の腫大と膵頭部の低吸収域、上流膵管拡張を確認します。
e.⑤は肝内の大きな不均一な造影を示す腫瘤が主で、本例に想定する画像とは異なります。
覚えるポイント
胆囊が腫大した閉塞性病態では、膵頭部・下部胆管と上流膵管を確認する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。