第115回医師国家試験 A56(2021年)
正答:e
問題
25歳の男性。咳嗽を主訴に来院した。数か月前から腰背部痛を自覚し、2週前から咳嗽が持続したため受診した。既往歴に特記すべきことはない。
身長176 cm、体重68 kg。体温36.5℃。脈拍68/分、整。血圧110/72 mmHg。尿所見に異常を認めない。血液所見:赤血球456万、Hb 15.1 g/dL、白血球8,300、血小板26万。
血液生化学所見:総蛋白6.8 g/dL、アルブミン3.9 g/dL、クレアチニン0.9 mg/dL、AST 40 U/L、ALT 38 U/L、LD 410 U/L(基準120〜245)、hCG 40 mIU/mL(基準0.7以下)、α-フェトプロテイン〈AFP〉200 ng/mL(基準20以下)、CEA 3.8 ng/mL(基準5以下)、CA19-9 10 U/mL(基準37以下)。胸腹部単純CTで両肺に各々4〜5個の肺腫瘤と、最大径8 cmの後腹膜リンパ節腫大を認めた。
原発巣の可能性が高い臓器はどれか。
a.甲状腺
b.肝臓
c.膵臓
d.大腸
e.精巣
正答の理由
若年男性でAFP・hCG・LDが上昇し、大きな後腹膜リンパ節と肺の多発腫瘤があるため、精巣胚細胞腫瘍の転移を強く疑います。精巣腫瘍は後腹膜へリンパ行性に転移し、肺転移も来します。AFP高値は純粋セミノーマとは合わず、非セミノーマ成分を考えます。精巣症状がなくても診察・超音波で確認し、性腺外胚細胞腫瘍も鑑別に置きます。
各選択肢の検討
a.AFP・hCGがともに上昇する若年者の転移パターンを代表しません。
b.AFP上昇はあり得ますが、hCG上昇と年齢・後腹膜転移を合わせると胚細胞腫瘍を優先します。
c.この年齢・腫瘍マーカーと転移分布を最もよく説明する原発臓器ではありません。
d.CEAは正常範囲で、今回のAFP・hCG上昇を伴う病像は典型的ではありません。
e.正しい。症状が乏しくても精巣を評価することが重要です。
覚えるポイント
若年男性の後腹膜腫瘤・肺転移では精巣を診察し、AFP/hCG/LDを確認する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。