第115回医師国家試験 A35(2021年)
正答:e
問題
65歳の男性。蛇に指を咬まれたことを主訴に来院した。30分前、草刈り中に左示指をマムシに咬まれた。既往歴に特記すべきことはない。意識は清明。脈拍70/分、整。血圧108/80 mmHg。SpO2 96 %(room air)。左示指の指腹に2か所の咬傷を認め、左前腕が腫脹している。
対応として誤っているのはどれか。
a.抗菌薬の投与
b.局所の血液吸引
c.細胞外液の補液
d.抗マムシ血清の投与
e.自宅での経過観察の指示
正答の理由
受傷後30分で指から前腕まで腫脹が広がっており、その後の進行や腎障害・凝固異常等を監視し、補液や抗毒素の適応を判断する必要があります。バイタルが安定しているというだけで自宅経過観察にはできません。公式正答はeです。ただし、他の肢を現在の全例必須処置と理解しないことも重要です。局所吸引の有効性は確立せず、北米向け応急処置指針でも有害となり得るとされており、抗菌薬も感染等の適応を検討して使用します。
各選択肢の検討
a.汚染・感染等に応じて検討しますが、全ての蛇咬傷で予防投与することを意味しません。
b.公式には選択されていませんが、吸引を確実に有効な処置として推奨することはできません。自己切開や口で吸う処置は避けます。
c.循環・尿量・腎機能を確認し、必要な補液を行います。
d.腫脹の程度・進行と全身所見から投与を検討します。アナフィラキシーへの備えも必要です。
e.誤りで正答。進行性腫脹があり、医療機関での観察・治療が必要です。
覚えるポイント
マムシ咬傷は局所から進行し得る。安定した初期バイタルだけで帰宅させない。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第115回医師国家試験問題および正答
- WHO:蛇咬傷中毒と不適切な応急処置
- WHO:蛇咬傷管理ガイドライン第2版
- AHA/米国赤十字:2024応急処置ガイドライン・蛇咬傷の吸引は有害となり得る
- 原著:マムシ咬傷38例の臨床的検討(臨床皮膚科2022)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。