第115回医師国家試験 A29(2021年)
正答:b
問題
76歳の男性。3か月前から続く左手の母指から環指のしびれを主訴に来院した。身長165 cm、体重65 kg。左母指から環指橈側にかけて感覚鈍麻を認める。握力は右26 kg、左22 kg。末梢神経伝導検査の結果(別冊No.8)を別に示す。
最も考えられるのはどれか。
a.頸椎神経根症
b.手根管症候群
c.多発性硬化症
d.肘部管症候群
e.胸郭出口症候群

正答の理由
感覚障害が母指から環指橈側という正中神経領域に一致します。神経伝導検査では左正中神経のみ手関節刺激の運動遠位潜時が遅延し、前腕部の伝導速度は正常、感覚神経応答は誘発不能です。他の正中・尺骨神経の検査は正常で、障害部位は左手関節付近の正中神経、すなわち手根管に局在します。
画像の見方
運動神経検査で左正中神経の遠位潜時が遅延する一方、前腕区間の伝導速度は正常です。感覚神経検査では左正中神経のみ誘発不能で、手根管部への局在を支持します。
各選択肢の検討
a.神経根障害を示す症状・所見より、正中神経の手関節部に限局する末梢伝導異常が根拠になります。
b.正しい。手根管内での正中神経絞扼に合致します。
c.中枢神経の脱髄疾患で、片側正中神経の遠位に限局する伝導障害とは合いません。
d.尺骨神経障害で小指・環指尺側の症状が中心です。今回の尺骨神経検査は正常です。
e.腕神経叢等の障害を考える病態で、手関節部に限局する正中神経異常とは合いません。
覚えるポイント
母指〜環指橈側のしびれと正中神経遠位潜時延長なら手根管を考える。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。