睡眠薬服用後の中途覚醒時の行動を覚えない前向健忘|第115回医師国家試験A24

第115回医師国家試験 A24(2021年)

正答:d

問題

55歳の男性。夜中の記憶がないことを主訴に妻とともに来院した。数年前に不眠に対して睡眠薬を処方されて以来、継続して服用し、仕事を続けていた。経営していたレストランに2週前に泥棒が入り、ひどく落ち込んでいる様子であった。昨日、午後7時に帰宅して夕食を済ませ、午後11時に就床した。翌日の午前1時頃、少しでも本人を励まそうとする友人から、カラオケに誘う電話があり、カラオケ店にタクシーで行き宴会に参加し、午前4時頃帰宅した。帰宅後約8時間睡眠をとって午後勤務についたが、夜中のことを全く覚えていない。友人によると普通に歌い飲食したとのことであった。アルコールは全く飲めず、当日も飲酒していない。妻の話によると2か月前くらいから夜中に食事をしたり、コンビニエンスストアに行ったりしていることを、翌朝全く覚えてないことが3回あったという。

この患者で考えられる疾患はどれか。

a.夜間せん妄

b.一過性全健忘

c.全生活史健忘

d.睡眠薬による前向健忘

e.レム〈REM〉睡眠行動障害

正答の理由

睡眠薬服用後の夜間、中途覚醒して飲食や外出を行っても、その出来事を翌日覚えていないという反復性の経過です。睡眠薬による新しい記憶の形成障害、すなわち前向健忘を考えます。ゾルピデム等の添付文書にも中途覚醒時の前向性健忘やもうろう状態への注意がありますが、本例の具体的な薬剤名は不明です。服薬内容と服用時刻、併用薬を確認し、処方を見直す必要があります。

各選択肢の検討

a.せん妄なら注意・意識の変動や見当識障害等を評価しますが、睡眠薬後の反復する選択的な記憶欠落が本例の手掛かりです。

b.急性の前向性健忘を起こしますが、睡眠薬服用後の夜間に同様の行動・健忘を反復する経過とは合いません。

c.自身の生育歴等の広い自伝的記憶が失われる病態ではありません。

d.正しい。中途覚醒して活動した間の新規記憶が残らないと考えます。

e.夢の内容に一致した発声や運動が中心で、覚醒後の長時間の外出と健忘を最もよく説明するものではありません。

覚えるポイント

睡眠薬服用後に「行動しているが覚えていない」場合は前向健忘を疑う。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

第115回の一覧へ戻る

タイトルとURLをコピーしました