第114回医師国家試験 E45(2020年)
正答:d
問題
20歳の男性。医学部在籍中の2年次学生である。1週間の病院実習に初めての参加を予定しており、10か月前(1年次)に受けた抗体検査の結果を持って病院実習担当の医師に相談に来た。
既往歴:感染症の既往はないという。予防接種で発熱などの副反応が出たことはない。
生活歴:喫煙歴と飲酒歴はない。
家族歴:特記すべきことはない。
検査所見:10か月前の抗体検査の報告書を示す。
血中抗体価報告書
| 測定方法 | 検査結果 | 病院実習の基準を満たす陽性 | 単位 | |
|---|---|---|---|---|
| 麻疹 | (IgG-EIA法) | 20.4 | (≧16.0) | |
| 風疹 | (IgG-EIA法) | 10.0 | (≧8.0) | |
| 水痘 | (IgG-EIA法) | 6.4 | (≧4.0) | |
| 流行性耳下腺炎 | (IgG-EIA法) | 陽性 | 陽性 | |
| B型肝炎 | (CLIA法) | 4.8 | (≧10.0) | mIU/mL |
| 結核 | (IGRA)* | 陰性 | 陰性 |
* 結核菌特異的全血インターフェロンγ遊離測定法
この学生の相談の際に話す内容で適切なのはどれか。
a.「BCG接種が必要です」
b.「MRワクチンの再接種が必要です」
c.「帯状疱疹になる可能性が高いです」
d.「B型肝炎ワクチンの接種状況を教えてください」
e.「流行性耳下腺炎患者の診療には参加できません」
正答の理由
B型肝炎の抗体価4.8 mIU/mLは、この報告書が示す基準の10 mIU/mLに達していません。まず接種回数・時期と、接種後の抗体獲得を記録で確認し、必要な追加接種等を判断します。過去に適切な接種を完了し、抗HBs抗体10 mIU/mL以上の反応が記録された免疫正常者では、経年的な抗体低下だけで防御免疫の消失と決め付けません。
各選択肢の検討
a.誤り。結核のIGRA陰性だけを理由に、この成人にBCGが必要とは判断しません。
b.誤り。示された麻疹・風疹の抗体価はいずれも実習の基準を満たしています。
c.誤り。水痘抗体陽性という結果だけから、帯状疱疹を発症する可能性が高いとは判断できません。
d.正しい。B型肝炎の抗体価が基準未満のため、接種歴と過去の抗体反応を確認します。
e.誤り。流行性耳下腺炎の抗体は陽性であり、この結果から実習参加を禁じる理由はありません。
覚えるポイント
実習前の抗HBs抗体低値では、接種歴と接種後の抗体獲得記録を確認する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。