第114回医師国家試験 D43(2020年)
正答:a
問題
63歳の女性。頭痛と行動異常を主訴に来院した。3か月前から起床時の頭痛を自覚し、徐々に悪心を伴うようになってきたため受診した。2か月前から約束を間違える、着衣がうまくできないなどの異常に家族が気付いていたという。意識レベルはJCSI-2。脈拍68/分、整。血圧142/88 mmHg。神経診察で左不全片麻痺を認める。頭部造影MRI(別冊No. 19A)を別に示す。入院し、開頭腫瘍摘出術を施行した。病変部のH-E染色標本(別冊No. 19B)を別に示す。
診断はどれか。
a.膠芽腫
b.髄膜腫
c.脳膿瘍
d.悪性リンパ腫
e.多発性硬化症


正答の理由
進行する頭痛・行動変化と左不全片麻痺があり、右前頭部の不整なリング状造影病変と、病理の壊死を取り囲む腫瘍細胞の偽柵状配列から膠芽腫を考えます。リング状造影だけでは膿瘍等も鑑別となるため、病理との対応が重要です。現在の統合診断ではIDH等の分子所見も必要で、本問のH-Eだけから分子型までは判定しません。
画像の見方
MRIでは右前頭部に中心が造影されず周辺が不整に造影される腫瘤があります。H-E像では壊死部に沿って腫瘍細胞が密に並ぶ偽柵状配列を認め、膠芽腫を支持します。
各選択肢の検討
a.正しい。不整な造影と壊死・偽柵状配列が典型的です。
b.通常は硬膜に接する脳外病変で、本例の脳内病変と組織像に合いません。
c.リング状造影を来しますが、好中球性膿瘍ではなく腫瘍細胞の増殖・壊死が示されています。
d.典型的には腫瘍性リンパ球の増殖であり、提示された偽柵状壊死像とは異なります。
e.炎症性脱髄病変であり、この腫瘍性組織像と進行性の占拠性病変には合いません。
覚えるポイント
リング状造影と壊死周囲の偽柵状配列は膠芽腫を考える。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。