第114回医師国家試験 D15(2020年)
正答:a
問題
64歳の女性。複視と不眠を主訴に来院した。2か月前から夕方になると瞼が重くなり、物が二重に見えるようになった。1か月前から、疲れているときに水分を慌てて飲むと鼻に逆流することを自覚した。症状は夕方になると悪化する傾向があり、不眠が続いていたという。既往歴に特記すべきことはない。抗アセチルコリン受容体抗体が陽性であった。胸部エックス線写真(別冊No.3A)及び胸部造影CT(別冊No.3B)を別に示す。
まず行うべき治療として適切なのはどれか。
a.胸腺腫を含む拡大胸腺摘出術
b.シクロスポリン投与
c.ベンゾジアゼピン系睡眠薬投与
d.放射線療法
e.薬物による抗癌治療

正答の理由
日内変動のある眼瞼下垂・複視と球症状、抗AChR抗体陽性から重症筋無力症を考え、前縦隔腫瘤は胸腺腫を示唆します。切除可能な胸腺腫を伴う場合、腫瘍を含む胸腺摘出が治療方針となります。実際には嚥下・呼吸機能を評価し、必要な術前の筋無力症安定化を行って手術へ進むので、無評価で直ちに手術する意味ではありません。
画像の見方
A胸部エックス線とB造影CTで右前縦隔の腫瘤を示す。静止画像から確認できる範囲で評価し、病歴と合わせて判断します。
各選択肢の検討
a.公式正答。胸腺腫の切除を含む手術を選びます。
b.筋無力症の免疫治療で用いることがありますが、切除可能な胸腺腫の治療をこれだけで代替しません。
c.呼吸抑制・筋弛緩作用等に注意が必要で、原因治療として選びません。
d.切除可能な腫瘍では手術を優先し、病期・病理・切除断端等により追加治療を検討します。
e.進行・切除不能等では考慮しますが、この切除可能と想定される腫瘍で最初に選びません。
覚えるポイント
胸腺腫合併MGは切除を検討し、術前の球・呼吸症状も評価する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。