第114回医師国家試験 A71(2020年)
正答:c・e
問題
9歳の男児。左肘痛を主訴に母親とともに来院した。自転車乗車中に転倒し、左手をついて受傷した。左肘関節エックス線写真(別冊No. 32A、B)を別に示す。徒手整復を行う準備をしていたところ、左前腕部にも疼痛が出現し、左手指の自動運動が不能となった。
緊急筋膜切開術を判断する指標として適切なのはどれか。2つ選べ。
a.創の有無
b.転位の程度
c.橈骨動脈の拍動
d.皮下出血の有無
e.前腕筋区画内圧

正答の理由
左上腕骨顆上骨折後に前腕痛が加わり、手指の自動運動もできなくなったため、血管障害と急性コンパートメント症候群を疑います。橈骨動脈の拍動など末梢循環と、前腕筋区画内圧を評価します。脈拍消失は重い血管障害の所見ですが、拍動が触れてもコンパートメント症候群は否定できません。疼痛・他動伸展痛、感覚・運動所見、圧測定を総合し、明らかな場合は測定待ちで筋膜切開を遅らせません。
画像の見方
左上腕骨遠位の顆上部に骨折を認め、側面像では遠位骨片の後方転位が目立ちます。画像だけで筋区画内圧は分からず、後から出現した前腕痛と手指運動障害を重視して緊急評価します。
各選択肢の検討
a.誤り。創がなくても閉鎖骨折でコンパートメント症候群は生じます。
b.本問では選ばない。転位は骨折治療や血管損傷リスクに関係しますが、それだけで筋膜切開を判断しません。
c.正しい。末梢循環障害を評価する重要な所見です。ただし拍動が保たれていても否定はできません。
d.誤り。皮下出血の有無は筋区画内の虚血を十分反映しません。
e.正しい。区画内圧と拡張期血圧との差などを、臨床所見と合わせて評価します。
覚えるポイント
前腕痛と手指運動障害では区画内虚血を疑う。脈が触れても安心しない。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。