第114回医師国家試験 A53(2020年)
正答:d
問題
60歳の女性。咳嗽を主訴に来院した。5年前から関節リウマチに対し、副腎皮質ステロイドとメトトレキサートの内服処方を受け、病状は安定している。1か月前から咳嗽が続いている。胸部エックス線写真(別冊No. 23A)及び胸部CT(別冊No. 23B)を別に示す。気管支鏡検査を行い、気管支洗浄液の抗酸菌検査で塗抹陽性で、非結核性抗酸菌が培養された。血液検査で抗MAC〈Mycobacterium avium complex〉抗体が陽性であった。
対応で適切なのはどれか。
a.肺生検が必要である。
b.接触者健康診断を行う。
c.個室隔離のため入院させる。
d.保健所への届出は不要である。
e.クラリスロマイシン単剤治療を行う。


正答の理由
気管支洗浄液から非結核性抗酸菌が培養され、抗MAC抗体陽性と気管支拡張・小結節から肺MAC症を考えます。結核の届出・接触者健診や隔離と区別し、肺MAC症として保健所への結核発生届は不要です。抗酸菌塗抹陽性のみの段階では結核との鑑別が必要ですが、本例は非結核性抗酸菌の培養が確認されています。治療の要否を病状に応じて検討し、治療する場合は耐性化を避けるため多剤併用を行います。
画像の見方
CTでは気管支拡張と、その周囲に集簇する小結節を認めます。抗MAC抗体陽性・非結核性抗酸菌培養陽性と合わせ、結節・気管支拡張型の肺MAC症を考える所見です。
各選択肢の検討
a.画像と細菌学的所見がそろっており、肺生検を一律に追加する必要はありません。
b.肺MAC症は通常ヒトからヒトへ感染する病態ではなく、結核のような接触者健診は行いません。
c.肺MAC症の感染対策として個室隔離目的の入院は必要ありません。
d.正しい。非結核性抗酸菌症であり、結核としての届出対象ではありません。
e.マクロライド耐性を誘導するため単剤治療は行いません。
覚えるポイント
抗酸菌塗抹陽性だけで結核と決めず、菌種同定に応じて対応する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。