第113回医師国家試験 E46(2019年)
正答:e
問題
72歳の男性。左下肢痛を主訴に来院した。
現病歴:2年前から500 m程度歩行すると両側下腿に疼痛が出現し、1か月前からは100 m程度の歩行で両側下腿の疼痛を自覚するようになった。しばらく立ち止まってじっとしていると疼痛は軽快するが、足先に冷感としびれが残っていた。昨日、急に左足趾尖の安静時疼痛が出現し、我慢できなくなったため受診した。
既往歴:15年前から高血圧症と脂質異常症のため医療機関にかかっていた。投薬を受けていた時期もあるが、60歳の退職後は受診が滞っていた。
生活歴:妻と2人暮らし。摂食、排泄および更衣は自立している。喫煙は20本/日を43年間。飲酒は機会飲酒。
現症:意識は清明。身長168 cm、体重75 kg。体温36.3 ℃。脈拍76/分、整。血圧156/88 mmHg(右上肢)。呼吸数20/分。SpO2 98 %(room air)。頸部と胸腹部に血管雑音を聴取しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。右足に色調変化はないが、左足は暗赤色に変色している。右の後脛骨動脈は触知するが、左では触知しない。
外来で足関節上腕血圧比〈ABI〉を測定するために四肢の収縮期血圧を測定した。
この患者の測定値と考えられるのはどれか。
| 選択肢 | 上肢血圧・右 | 上肢血圧・左 | 下肢血圧・右 | 下肢血圧・左 |
|---|---|---|---|---|
| a | 156 | 158 | 162 | 136 |
| b | 156 | 158 | 162 | 110 |
| c | 156 | 158 | 162 | 48 |
| d | 156 | 158 | 110 | 110 |
| e | 156 | 158 | 110 | 48 |
正答の理由
両側に間欠性跛行があり、左は安静時痛、色調変化、後脛骨動脈の触知不能を伴います。両下肢の血圧が低く、特に左で低いeが最も合います。高い方の上腕収縮期血圧158 mmHgを分母にすると、右ABIは110/158≒0.70、左は48/158≒0.30です。右で動脈が触れることは、右の動脈病変を否定する根拠にはなりません。安静時痛が急に出現しており、血圧の測定だけでなく速やかな血流評価が必要です。
各選択肢の検討
a.右ABI約1.03、左約0.86です。両側症状と左の強い虚血所見を説明する組合せとしてはeより合いません。
b.右は約1.03、左は約0.70で、右の間欠性跛行と左優位の重い虚血所見にはeがより合います。
c.左約0.30は合いますが、右約1.03で、両側の間欠性跛行を踏まえるとeが適します。
d.両側とも約0.70です。左が右より明らかに重い所見に合うeを選びます。
e.正しい。右約0.70、左約0.30で、両側病変と左優位の虚血を説明します。
覚えるポイント
動脈が触れてもPADは否定できない。両側跛行と左右の重症度をABIに対応させる。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。