妊娠32週の切迫早産に対する短期収縮抑制と出生前ステロイド|第113回医師国家試験D64

第113回医師国家試験 D64(2019年)

正答:c・e

問題

34歳の初妊婦(1妊0産)。妊娠32週0日。下腹部痛と性器出血を主訴に来院した。数日前から軽度の下腹部痛があり様子をみていたが、本日朝に少量の性器出血があったため受診した。妊娠30週5日に行われた前回の妊婦健康診査までは、特に異常を指摘されていなかった。

来院時の腟鏡診で淡血性の帯下を少量認めた。内診で子宮口は閉鎖していた。腹部超音波検査では胎児は頭位で形態異常はなく、推定体重は1,850 g、胎盤は子宮底部に付着し、羊水指数〈AFI〉は18.0 cmであった。胎児心拍数陣痛図(別冊No.29A)及び経腟超音波像(別冊No.29B)を別に示す。

まず行うべき処置として適切なのはどれか。2つ選べ。

a.抗菌薬投与

b.NSAIDs投与

c.β₂刺激薬投与

d.子宮頸管縫縮術

e.副腎皮質ステロイド投与

反復する子宮収縮と胎児心拍数を示す図
No.29A:胎児心拍数陣痛図 / 出典:厚生労働省・第113回D別冊(原本の該当ページ)
短縮した頸管と内子宮口側の開大を示す像
No.29B:経腟超音波像 / 出典:厚生労働省・第113回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

規則的な子宮収縮と頸管の短縮・内子宮口の開大を示す画像から切迫早産を考えます。公式正答はβ₂刺激薬による子宮収縮抑制と、児の成熟を促す出生前の副腎皮質ステロイド投与です。子宮収縮抑制は母体搬送やステロイド投与の時間確保を目的として適応を判断し、漫然と長期間継続するものではありません。海外ではNICEがβ刺激薬を推奨しないなど薬剤選択に差があり、国内の試験正答と現行の地域別方針を区別します。

画像の見方

心拍数基線はおよそ140/分で一過性頻脈がみられ、下段には規則的な収縮が記録されています。超音波像では頸管短縮と内子宮口側の開大がみられます。

各選択肢の検討

a.破水や感染を示す所見が提示されておらず、感染のない切迫早産に一律に抗菌薬を投与する選択肢ではありません。

b.妊娠32週では胎児動脈管収縮等の有害作用に注意が必要で、本問の子宮収縮抑制薬として選びません。

c.本問の正答。国内で用いられるリトドリン等を想定します。禁忌と母体・胎児への副作用を確認し、必要な短期間に限定して評価します。

d.既に収縮がある32週の本例でまず行う処置ではありません。感染・出血・収縮のある状態での緊急縫縮の適応は慎重に判断します。

e.正しい。早産が切迫する32週の胎児に、呼吸障害等のリスクを減らす目的で出生前ステロイドを投与します。

覚えるポイント

切迫早産では分娩を待機できる状態かを評価し、出生前ステロイドと必要な短期収縮抑制を検討します。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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