第113回医師国家試験 D36(2019年)
正答:a
問題
55歳の女性。右膝関節痛を主訴に来院した。5年前関節リウマチを発症し、最近は抗IL-6受容体抗体の投与により、関節リウマチのコントロールは良好であった。数日前から右膝関節痛が生じたため受診した。
体温37.0℃。右膝に発赤、腫脹および熱感を認めるが、他の関節には腫脹、圧痛を認めない。血液所見:赤血球380万、Hb 10.1 g/dL、Ht 31%、白血球9,800(桿状核球16%、分葉核好中球70%、単球4%、リンパ球10%)、血小板23万。CRP 1.2 mg/dL。
初期対応として適切なのはどれか。
a.関節穿刺
b.抗菌薬の投与
c.抗核抗体の測定
d.関節MRIの撮影
e.ステロイドパルス療法
正答の理由
生物学的製剤で治療中の患者に急な単関節の発赤・腫脹・熱感があり、化膿性関節炎を見逃してはいけません。IL-6受容体阻害薬では発熱やCRP上昇が抑えられることがあるため、体温やCRPが目立たないことだけで感染を否定しません。まず速やかに関節穿刺し、関節液の細胞数・結晶・Gram染色・培養などを調べます。敗血症で不安定なら培養採取と抗菌薬を急ぎますが、本例では診断用採取を先行できます。
各選択肢の検討
a.正しい。感染と結晶性関節炎などを調べるため、関節液を採取します。
b.誤り。感染が疑われれば速やかに開始しますが、全身状態が安定した本例では培養の感度を落とさないよう穿刺・培養採取を先行します。
c.誤り。急性単関節炎の感染評価より優先する検査ではありません。
d.誤り。補助画像に役立つ場合はありますが、まず関節液を採取することを遅らせません。
e.誤り。感染を十分評価せず免疫抑制を強めると、重篤化させるおそれがあります。
覚えるポイント
免疫抑制下の熱い腫れた単関節は感染を疑う。安定例は関節液採取を抗菌薬に先行する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。